2003 年 17 巻 5 号 p. 559-565
目的: 肺外科における最も有用なフィブリン接着剤の使用法を追究した.
方法: 術中の水封試験でair leakageを認めた肺切除症例233例を対象に, フィブリン接着剤を用いた4種類の肺痩閉鎖処理法 (擦り込みスプレー法127例, タココンブ法23例, スプレー法43例, 森川2法40例) の有用性を比較検討した.
結果: 擦り込みスプレー法とタココンブ法の2群は, スプレー法と森川2法の2群に比較し, 術後のair leakage消失期間は有意に短く, 評価判定スコアーの平均値も有意に高値であった.また術後肺痩閉鎖率はすべての時間帯において有意に高値であった.
結論: 擦り込みスプレー法とタココンブ法は使用法も簡便で, 胸腔鏡下手術でも容易に利用でき, 現時点で最も有用な肺痩処理法である.今後も更に強固で有用な閉鎖法の改良は必要と思われる.