抄録
術後早期に再発を来たしたpleomorphic carcinomaの二切除例を経験した.症例1は65歳男性.右上葉の腫瘤影に対し, エコー下針生検を施行したところ, high gradeの癌が疑われたため, 胸壁合併右上葉切除術を施行した.病理組織診断にて全体的にspindle cellを主体とした肉腫様の成分を認め, 多核のgiant cellも認めたためPleomorphiccarcinomaと診断した.pT2N0M0 (stage I B) であったが, 術後4ヵ月目に多発肝転移で再発した.症例2は46歳女性.血痰を主訴とし, 胸部レントゲン写真にて右上中肺野に巨大な腫瘤影を認めた.右上葉切除・中葉部分切除術を施行した.病理組織診断にてgianat cellの目立つ大細胞癌の像を認め, WHO分類改訂第3版に基づくpleomorphiccarcinomaと診断した.pT2N1M0 (stage II B) であったが, 術後2ヵ月目に多発脳転移で再発した.二例共に術後早期に遠隔転移を来たし, 急速に進行した.