日本呼吸器外科学会雑誌
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Completion sleeve pneumonectomyを施行した多発肺癌の1例
武田 恒弘山口 豊柴 光年籾木 茂関根 康雄光永 伸一郎安川 朋久鈴木 洋人青柳 壽幸尾辻 瑞人吉田 成利木村 秀樹藤沢 武彦
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1992 年 6 巻 6 号 p. 724-730

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抄録

症例は55歳, 男性.1990年7月, 右下葉の扁平上皮癌で右下葉切除術を施行, 術後病期はpT1N0M0Stage Iであった.約1年半後血痰が出現し, 気管支鏡検査にて, 右上葉支入口部から気管下部にかけて腫瘍性病変認め, 生検にて扁平上皮癌と診断され, 1991年3月手術を施行した.まず, 正中切開にて心嚢を開けて右肺動脈起始部を処理し, 続いて左側臥位とし, 気管は気管分岐部より3軟骨輪口側で, 左主気管支は分岐部の高さで切除し, 気管・左主管支を端端吻合する右completion sleeve pneumonectomyを行った.吻合部は胸腺の脂肪組織で被覆した.術後は特に合併症もなく, 第50病日に退院した.稀なcompletion sleeve pneurnonectomyの1例につき報告し, 致命的となる可能性もある肺動脈からの出血を回避するために, 正中アプローチによる肺動脈主幹の確保が有用であることを述べた.

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