日本呼吸器外科学会雑誌
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Down症候群の成人に合併したBochdalek孔ヘルニアの1例
千葉 渉畠中 陸郎澤井 聡小西 孝明石田 久雄塙 健松井 輝夫小鯖 覚松原 義人池田 貞雄
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1992 年 6 巻 7 号 p. 774-779

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抄録

成人のBochdalek 孔ヘルニアは比較的稀な疾患である.今回我々はDown症候群の成人男性に合併したBochdalek 孔ヘルニアの1治験例を経験したので報告する.症例は41歳男性.染色体分析で47XY+21を認め, Down症候群と診断された.胸部X線では左横隔膜上に腫瘤陰影を認めたが, 自覚症状は無かった.CT検査では腹腔から胸腔に連続する脾臓を認めた.横隔膜ヘルニア (Bochdalek 孔ヘルニア) と判断し左開胸にて手術を施行した.横隔膜欠損部は約70cm2あり, 脾臓がヘルニア嚢を伴って胸腔内に突出していた.脾臓は容易に腹腔に還納しえたが, 横隔膜の縫縮ではヘルニア孔を閉鎖しきれなかったため, 最終的にはパッチをあてて閉鎖した.Down症候群に合併したBochdalek 孔ヘルニアの報告例は無く, 本症例が第一例目である.

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