抄録
42歳の主婦が検診にて胸部異常陰影を指摘され, 胸部X線写真, 胸部CT, 胸部MRIにて右中縦隔に発生した径8cmの気管支嚢腫と診断され, 胸腔鏡下に摘出を試みた.全身麻酔下に分離肺換気とし, 第6肋間後腋窩線より胸腔鏡を挿入, 第4肋間前腋窩線より5mmのトロッカーを嚢腫内に穿刺吸引して腫瘤を縮小させた.術中細胞診は陰性であった.腫瘤の周囲の胸膜はフックを用いて電気凝固で切離し, トロッカーの挿入創から比較的容易に摘出できた.術後2病日に胸腔ドレナージを抜去し, 7病日に退院した.病理組織は気管支嚢腫であった.