抄録
29歳男性に発生した縦隔悪性胚細胞性腫瘍 (AFP, HCG産生teratocarcinoma) の一例を報告した.本症例は放射線治療後, 右肺全摘, 胸膜, 心膜, 右腕頭静脈合併切除により腫瘤を完全に摘出したが, 術後局所再発した.経過中AFP, HCGの推移が治療と良く相関し, 化学療法及び気管狭窄に対するexpandable metalic stentの気管挿入により延命をはかったが最終的に呼吸不全のため術後9ヵ月で死亡した.剖検では局所巨大腫瘍の再発で腫瘍の気管内への浸潤穿破が認められた.縦隔悪性胚細胞性腫瘍は非常に悪性度が高く, 早期診断, 早期治療の開始が大切である.