高度の呼吸不全を呈した両側性巨大肺嚢胞症に対し手術を施行した.症例は, 65歳, 男性.1986年暮れより繰り返す咳嗽, 喀痰, 呼吸困難に対し, 内科的治療を試みてきたが症状の改善を見ず, 1991年2月には呼吸困難のため自力歩行不能となり, また左気胸を合併したため同年5月当科へ入院した.手術は, 2期的開胸にて, ブラに隣接した肺組織を可及的に温存すべくブラ切除を施行した.術後気漏, 肺炎等の合併症にかなり難渋したが, 症状, 呼吸機能の著明な改善を達成することができ, 現在では普通に日常生活が可能である.本症例のように極めて不良な全身状態にあるものでも, 十分な術前評価を行い, 症例に応じた開胸法, 術式を採用することにより症状, 機能の著明な改善が得られるので, 積極的に手術を考慮すべきであると考えられた.