日本呼吸器外科学会雑誌
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CA 19-9 高値を呈した横隔膜中皮嚢腫の1例
田川 努伊藤 重彦新海 清人岡田 代吉西田 卓弘小林 誠博山口 慎也田村 和貴生田 安司大江 久圀辻野 直之
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キーワード: 横隔膜, 中皮嚢腫
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1995 年 9 巻 2 号 p. 192-198

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抄録

横隔膜原発腫瘍は, まれな疾患である.我々は, CA19-9が嚢腫内容液, 末梢血液ともに高値を呈した横隔膜中皮嚢腫を経験したので報告する.症例は72歳男性で, 平成3年2月より右側腹部痛を訴えるようになった.CTにて右上腹部の cysticmass を認め経過観察していたが, 径の増大を認め精査入院となった.入院時現症, 末梢血液像, 一般生化学, 尿所見に異常はなかった.末梢血液中の腫瘍マーカ一はCA19-92.800 U/ml, SPAN-1645 U/ml, CA-50619 U/mlと 高値を呈した.腹部超音波像, CT像, MRI像にて, 右側前外側胸壁に接し, 横隔膜より尾側で胸腔外, 肝外に10×8cm大のcysticmassを認めた.腹腔鏡にて横隔膜由来の嚢腫と確診し, 開胸切除した.嚢腫内容液もCA19-92,800,000U/ml, SPAN-1703,000 U/ml, CA-50735,000 U/ml と高値を呈し, 術後末梢血液値は正常化した.病理診断は中皮由来の嚢腫で;嚢腫の被覆上皮はCA19-9染色に陽性であった.

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