抄録
本稿は、日本語学習者を対象に実施した複線径路等至性アプローチ(TEA)を活用した省察活動の効果を明らかにしようとする試みである。活動の目的は、対象者が自身の日本語学習プロセスをモデル化しながら客観的に振り返り、評価できるようになることである。調査対象者は、筆者が勤める日本国内の大学で日本語中上級コースを修了した留学生3名である。本調査では、対象者各々の詳細と活動効果を明らかにしようと考えたため、少人数に限定して協力者を募り、小規模クラスを想定した活動を実施した。その結果、全員の記述において詳細な振り返りや目標が追加されており、本活動によって学習者の省察が促進される可能性が示された。