外国語指導助手(Assistant Language Teacher: ALT)は言語・文化的に多様な集団である。しかし、多くの先行研究や政策文書においてALTの表象は未だ「英語のモデル」が中心となっていることから、ALTの複言語主義が教育に還元されていないことがうかがえる。そこで、本研究はALTの複言語主義を活かすために、「視覚的言語自伝」の可能性を検討することにした。教職課程に在籍中の著者の一人が、(元)ALTの作成した「視覚的自伝」を巡り、ALT本人の複言語主義と教育経験を中心に対談を行った。対談と事前・事後インタビューの質的分析から、複言語主義の意義について、著者だけではなくALT自身も啓蒙されることがうかがえた。分析結果に基づいて複言語話者のALT の活用の課題を考察するとともに、教員養成について示唆する。