複言語・多言語教育研究
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最新号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • JACTFL10年の活動の軌跡を振り返る
    中野 佳代子
    2022 年 10 巻 p. 5-66
    発行日: 2022/12/01
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
  • 外国語を教えない外国語教育
    當作 靖彦
    2022 年 10 巻 p. 67-82
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    This year JACTFL celebrated 10th anniversary. In the past ten years, JACTFL has been tirelessly advocating the importance of world languages education for all Japanese children and students. JACTFL aims at developing and implementing a world languages education policy that requires all Japanese students to study at least one world language of their choice other than English. The author argues that in order to achieve this goal, first we have to increase the number of world languages students in schools and for this purpose we have to offer attractive world languages education that inspires young people to study world languages. This paper suggests that we should offer world languages instruction that develops global citizenship and demonstrates sample classroom activities.
  • 稲田 栄一
    2022 年 10 巻 p. 108-123
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、日本語学習者を対象に実施した複線径路等至性アプローチ(TEA)を活用した省察活動の効果を明らかにしようとする試みである。活動の目的は、対象者が自身の日本語学習プロセスをモデル化しながら客観的に振り返り、評価できるようになることである。調査対象者は、筆者が勤める日本国内の大学で日本語中上級コースを修了した留学生3名である。本調査では、対象者各々の詳細と活動効果を明らかにしようと考えたため、少人数に限定して協力者を募り、小規模クラスを想定した活動を実施した。その結果、全員の記述において詳細な振り返りや目標が追加されており、本活動によって学習者の省察が促進される可能性が示された。
  • ICT支援によるオンライン開講の試みと可能性
    岩居 弘樹
    2022 年 10 巻 p. 124-139
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、1セメスターで3言語(インドネシア語・韓国語・ドイツ語)を学習する「複言語学習のすすめ」の実践とその効果を検討することを目的とする。この取り組みは、ICTツールを活用して複数の外国語を声に出して練習しながら、「ことばの学び方」を学ぶことに重点をおいている。音声を中心に学習するこの授業は当初は「難しい」というコメントが多くみられたが、徐々に肯定的な意見が主流になった。ビデオ課題の提出状況や学習成果ビデオ、学生たちの声からも、ICTを活用した複言語学習のフレームワークが良好に機能していることが明らかになった。
  • 高等学校でフランス語を学ぶ/学んだ者たちへの調査から
    野澤 督
    2022 年 10 巻 p. 140-153
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、第二外国語としてのフランス語学習の意義について考察した。第二外国語としてフランス語を学んでいる、もしくは学んだ者たちを対象に調査を行い、フランス語学習が対象者に与えている影響について調査した。KJ法を用いて分析した結果、「学習の拡大・深化」「人間的成長」「将来に対するヴィジョンの獲得」という3つのカテゴリーに分類することができ、学習の継続や深化、進路の決定や大学卒業後の進路の選択、人間関係の構築等、多岐にわたって学習者の学習や意思決定に影響を与えていることが確認できた。高等学校で第二外国語を学ぶことが学習者の大学やその後の意思決定に関与していることから、第二外国語教育の意義が認められると結論づけた。
  • 独・仏・中3言語の教師へのインタビューから
    松木 瑶子
    2022 年 10 巻 p. 154-168
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、高校での複言語教育の意義とそこでの教師の役割を考察したものである。具体的には、高校の英語以外の外国語教師3名へのインタビューを通じ、教師が生徒個々人の言語体験にいかに向き合い、生徒に自分なりの言語体験をしてもらおうと努めているのかを質的データ分析法を用いて検討した。その結果、高校での複言語教育の意義は、ことばの学びを通して生徒の自立や自律を促すことにあると明らかになった。また教師には、生徒の学びを主導するのではなく、生徒の自立や自律を促したり、生徒をありのまま受け入れ支援したりする姿勢が求められることが見えてきた。
  • 『2015年改訂教育課程』に基づいて
    栁 素子
    2022 年 10 巻 p. 169-184
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は韓国の中学校・高等学校の初級レベルの中国語教科書の分析を通して、日本の高等学校の授業への教育的示唆を得ることを目的とする。研究方法としては、韓国の教科書の語彙、文法、表現項目について量的・質的分析を行い、『2015年改訂教育課程』にどのように対応しているかを確認する。分析の結果、語彙や表現については、参照した中学校・高等学校の複数の教科書においてそれぞれ均質性が見られ、比較的高い割合で『教育課程』に対応していることが判明した。また、文法については、高等学校の教科書ではHSK3-4級(CEFR B1-B2)以上の項目も示されていることがわかった。同じ初級の教科書でも、中学校では優先的に教えるべき基礎的な内容に重点を置き、高等学校ではそれらに加え、より豊かなコミュニケーションを行うことを目指していると考えられる。
  • 昭和女子大学附属昭和中学校 グローバル留学コースの実践報告
    青木 隆浩
    2022 年 10 巻 p. 185-194
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    昭和女子大学附属昭和中学校のグローバル留学コースでは、中学二年次から必修科目として中国語を取り入れている。高等学校における中国語教育は比較的認知されており、高校生を対象としたシラバスデザインの研究も多くなされているほか、市販の教材も複数刊行されているが、一方で、中学生を対象とした中国語教育についてはその母数が非常に少ないため、研究や実践報告は自ずと限られる。本稿が本学における中国語の授業実践と成果について紹介するとともに、中学校における第二外国語教育の意義を考える契機となればと考える。
  • 澤邉 裕子, 中川 正臣, 植村 麻紀子, 青森 剛, 劉 星
    2022 年 10 巻 p. 195-204
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は2021年度に実施した日中韓5大学の学生と教師による多言語絵本読み聞かせプロジェクトのデザインと教師間の協働について報告したものである。本稿では複数の大学が協働するプロジェクトの過程における具体的な事例を挙げながら(1)どのような問題が生じ、(2)それに対して教師らはどのような協働を行い、解決したのか、また、(3)どのような課題が残ったかについて示し、オンライン国際協働学習(COIL)型のプロジェクト実施における教師間の協働の課題について述べた。
  • 杉江 聡子
    2022 年 10 巻 p. 205-214
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の外国語教育では母語話者を理想像とみなし発音・文法修得を目指す傾向にある。しかし国際化が進む教育現場からみると、ICTや地域資源を学びに取り入れながら、第二言語話者として一定のコミュニケーションレベルに到達することが現実的なゴールである。内容駆動型の学習の過程で言語・文化背景が異なるメンバーと協調的に支援し合い、自分の考えを自分の言葉で語り合う機会を増やす必要がある。本研究では、観光、メディア、外国語を統合した国際協同学習としてのプロジェクト型学習を行い、教授設計の観点から成果と課題を探究した。特に、動画制作の過程で留学生同士が意見交換を行う場面に焦点を当て、マルチモーダルなコミュニケーションの分析と学習者視点の振り返りに基づき質的に分析した。
  • ある留学生の一学期間の変容の考察に基づく試論
    原 伸太郎
    2022 年 10 巻 p. 215-226
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿はまず、言語学習における「動機づけ」の先行研究を参照し、そこで注目される「自己」が、学習言語に関連する視野に限定されていることの問題を指摘する。そのうえで、ある日本語学習者が筆者の問いかけを契機に、自身の人生全体における理想の自己と、日本語学習や留学との関係に気づくことによって、学習の動機づけを固めた事例を考察し、「なぜその言語を学ぶのか」という問いかけから「自己」に関し学習者・教師が視野を拡げ、深める実践の必要性を述べる。
  • 協働的実践による言語意識への効果
    吉村 雅仁, 髙谷 文也
    2022 年 10 巻 p. 227-236
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、正規のカリキュラムにおいて多言語を必修で学ぶ高校の生徒による、小学生への多言語授業の成果を報告する。高校生たちは、5言語を学んだ高校1年次末の課題として、自分たちが選択した言語について、グループごとに小学生向けの短いレッスンを計画し、オンラインで小学校とつないで実施した。授業後の小学生、高校生両者の振り返り記述を分析した結果、小学生は、高校生のレッスンにより多様な言語への興味や学習意欲を高めること、高校生は、選択言語やその背景文化をさらに調べる動機が与えられただけでなく、当該言語を知らない人たちに対する効果的なコミュニケーションについて考えるようになることがわかった。
  • 李 鉉淑
    2022 年 10 巻 p. 237-246
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、目標言語話者の「多様性」に対する意識化を目的とし、K大学の韓国語授業で実施した「多様なコリアンと出会う」活動を紹介する。授業では、学習者と複言語・複文化環境で育った「多様なコリアン」3人との対話を試みた。対話は、学習者による問いかけから3人の言語・国・文化・民族に関する内容で構成された。活動後に、学習者の振り返りから言語・国・文化・民族に対する意識の変化がみられた。それに加え、「多様なコリアン」として参加した学習者における自己開示及びエンパワメントの可能性が示唆された。
  • 王 林鋒
    2022 年 10 巻 p. 247-257
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、中学校におけるメタ言語能力の育成を目指した複言語アプローチの外国語教育実践を検討する。中学校1年生(36名)を対象に8つの言語を扱う「日本語・英語・複数の外国語を通してことばに気づく」という世界の言語を学ぶ授業実践が行われた。授業実践は、前時での導入、本時で9名のゲスト講師による小グループごとの言語活動のオンライン実施、次時に、異なる言語グループのメンバーに自分が学んできたことを紹介するためのレポート作り、最後に、クロスセッションでの発表会と省察、合計4回を行った。本稿では、一連の授業実践の概要を示した後、生徒および授業者の振り返りの記録を分析し、複言語教育によって達成されたことを記述し、さらに、複言語実践に関わった教育実践者らの動きを元に、実践コミュニティの重要性を論じ、日本の学校での複言語教育への示唆を行う。
  • 6年間のフランス語学習から得た経験と未来への展望
    石橋 瑞葵
    2022 年 10 巻 p. 258-264
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は2022年3月に開催した第5回JACTFLオンラインシンポジウム高大連携の可能性-中等教育における英語以外の外国語教育-に登壇したものの報告である。筆者は中学高校の6年間、フランス語を第2外国語として学んできた。筆者は自身のフランス語学習を振り返りながら、複言語教育の可能性について自ら問うている。
  • 神奈川県立藤沢総合高等学校における、生徒インタビューの内容
    潮田 央, 佐々木 亮太
    2022 年 10 巻 p. 265-273
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は藤沢総合高校における、英語以外の外国語(中国語、スペイン語)を履修した生徒たち6名のインタビュー内容をまとめたものである。本校は総合学科の県立高校で、選択科目の一つとして外国語科目を設定している。生徒には外国語を学ぶことについて4つの観点から質問をした。生徒たちの感想から、生徒たちは学習を楽しむだけでなく、複数言語を学ぶことで他の言語を学ぶことについて考えたり、外国語学習の異文化理解としての面について考えたりしていることがわかった。
  • 慶應義塾大学日吉キャンパスにおける試み
    刀根 亜星, 岩本 拓弥, 田宮 優華, 舘 恒太朗, 熊代 真幸
    2022 年 10 巻 p. 274-283
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    慶應義塾大学の講義、自由研究セミナーにて、1年間を通して外語教育や国際理解について議論をした。自由研究セミナーの講義形式や内容、そして受講生であった発表者らの抱いた意見などを自身でまとめ、JACTFL主催の第10回記念シンポジウム「外国語教育の未来を拓く:持続可能な未来を創るための外国語教育」にて発表を行った。発表タイトルは本稿の題名と同じである。セミナーでは主に指定図書の輪読が行われた。指定図書について説明したのち、外語教育における英語の偏りを指摘する。一つの言語への外語教育の偏りにより、国際理解が阻まれるおそれがある。そうした問題点に関し各員の体験などを交えた口頭発表を、補足を加えて記録した。
  • 下絵津子著
    境 一三
    2022 年 10 巻 p. 284-289
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
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