大学教育学会誌
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Print ISSN : 1344-2449
事例研究論文
ライティング・センターにおけるオンライン型支援の特徴
─相談者およびチューターに対する調査に基づく質的分析─
嶼田 大海小林 至道中竹 真依子
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2023 年 45 巻 1 号 p. 169-179

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抄録

 本研究ではライティング・センターにおけるオンライン型支援の特徴を,対面型とオンライン型支援の両方を経験した相談者およびチューターに対する調査により明らかにした.データ収集では,相談者9名に対しインタビュー調査を実施した.また,チューター10名には自由記述による質問紙調査を行った後,その内の3名に追加でインタビュー調査を実施した.コーディングの結果,相談者からは【利便性の良さ】の点でオンライン型支援への好意的な声が聞かれ,セッション内容についても【対面時と同質の支援が受けられる】という語りが特徴的であった.ただし,コミュニケーションの不自由さに起因する【不満足な点】も指摘された.一方,チューターからのオンライン型【支援上の利点】に関する声は限定的であり,むしろ支援上の制約として【相談者の様子や状況の把握が難しい】,【やり取りが断片的になりやすい】点が強調された.加えて,【勤務環境の変化に伴う困難】についても報告された.これらの特徴を整理した上で,ライティング・センター運営の示唆を得るため,なぜこれらの特徴が現れ,どのように対応すべきかを考察した.最後に,相談者およびチューターの視点を踏まえ,対面型支援の代替ではなくオンライン型支援特有の強みを活かした運営のあり方を提案した.

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© 2023 一般社団法人 大学教育学会
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