本稿ではアメリカの高等教育プログラムについて論じる.はじめに,高等教育プログラムの歴史的展開を素描し,有力なプログラムの例としてミシガン大学を取り上げる.次に,高等教育の専門職団体や学会がどのような活動を行い,人材育成に影響を及ぼしてきたかについて,特にプログラムのガイドライン作成の動きを取り上げる.その上で,ガイドラインが機能したケースとしてイーストカロライナ大学を取り上げる.アメリカでは高等教育プログラムが力強く推進されてきた一部大学が存在する一方,多くの大学では初等中等教育の教員が影響力を持つ中で発言権が弱い状況が見られる.他方,専門職団体や学会,これらが公表するガイドライン等がプログラムの存在に正当性を付与し,高等教育を専門とする教員の発言権に影響を与えている.