沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
報告
大水深における魚礁ブロック検出・誘導システムの開発
稲田 勉岡 貞行中村 隆柳瀬 知之竹内 克昌吉田 涼
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2009 年 22 巻 2 号 p. 89-99

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抄録

要旨:水産庁は,日本海西部の排他的経済水域において,ズワイガニ及びアカガレイの保護育成礁を整備する直轄漁場整備事業をスタートさせた。底びき網漁船から保護区域内の対象生物を保護する観点から,保護育成礁を構成している魚礁ブロックの設置間隔を一定間隔以下に抑えるため,その据付位置精度を±30m以内とすることが求められた。この課題を解決するため,リアルタイムに魚礁ブロックの位置を検出しながら,所定の位置に誘導し,高精度に据え付けるシステムを開発し,但馬沖において実証した。当該システムは,起重機船クレーンの頂部と船体に取り付けたGPSの位置情報と,船体側部並びに吊下げワイヤー先端部の魚礁吊枠に取り付けたトランスポンダー送受信器からの位置情報及び深度情報に基づいて,モニター画面でリアルタイムに魚礁ブロックの位置,深度及び沈設速度を確認しながら,所定の位置まで誘導するものである。結果,全ての魚礁ブロックにおいて出来形管理値(今回使用した機器による計測値)で±30m以内を確保することができた。

本稿は,魚礁ブロック検出・誘導システムの概要と検証事例について報告するものである。

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© 2009 日本沿岸域学会
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