2012 年 25 巻 3 号 p. 41-52
要旨:伊勢湾の小型底びき網漁業について、主にマアナゴを対象にその操業実態の調査を行うとともに、漁業者や漁協の水揚げ伝票等のデータを用いて漁獲量や価格に関する情報を収集・分析した。その結果、底びき網漁業の操業形態は各拠点港毎に特徴をもっていることや、夏季の伊勢湾の貧酸素水塊が漁場選択に大きな影響を与えていることなどがわかった。また、出荷や流通形態を反映して価格変動の特徴も各地域で異なっている。さらに、海域の資源量の空間分布および操業にかかる経費・収益性によって操業形態が変化することをモデル化し、水域環境的側面ならびに漁業経済的側面が地域の漁業行動に及ぼす影響を定量的に評価するための操業シミュレータを構築した。