2016 年 29 巻 1 号 p. 15-26
要旨:本研究では、近世・近代に隆盛を誇った牡蠣船に着目し、近世から現代にかけての牡蠣船の歴史的変遷や機能的・形態的変化を捉えることを目的に、文献調査、ヒアリング調査、現地調査を行った。その結果、牡蠣の販路拡大のための運搬船として生まれた牡蠣船は、その営業形態が生産物販売から調理、飲食等の付加価値販売へと移行していくにつれて、屋形船形態への変化や機能用途の付加及び規模拡張がなされ、その変遷を捉えた。また、現存する牡蠣船は水面利用の一方策として位置付けられ、地域特有の観光資源として価値認識がなされてきている状況を明らかにした。