沿岸域学会誌
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報告
海洋基本計画に記載された「沿岸域の総合的管理」施策の実施状況
脇田 和美
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2018 年 30 巻 4 号 p. 125-134

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抄録

要旨:本報告では,総合海洋政策本部事務局が毎年発行する「海洋の状況及び海洋に関して講じた施策(以降,年次報告と記す)」に記載された「沿岸域の総合的管理」に関する施策をレビューすることにより,海洋基本計画に記載された同施策の実施状況を明らかにした。年次報告で報告された「沿岸域の総合的管理」施策と海洋基本計画に記載された同施策を比較した結果,実施報告率は旧海洋基本計画の67%から現計画の87%へと高まっており,より継続的・安定的に施策が実施されてきていると判断できた。一方,旧計画では報告率が5割を下回る年があることや,現計画に記載されている施策のうち2つは実施報告が全くないことも確認された。次期海洋基本計画に記載すべき施策を適切に選び実施率をさらに高めていくためにも,これらの要因を検討することは肝要である。28年版年次報告によれば,わが国の「沿岸域の総合的管理」施策は総合調整機能としての総合海洋政策本部事務局による実施が5%,複数省庁による実施が16%にとどまっている。今後は「総合的管理」の重要な一要素である「部局間の総合」について,海洋政策本部事務局がどのような調整機能を果たしたのか等の検証が必要だと考えられる。

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© 2018 日本沿岸域学会
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