抄録
本研究は,A 県B市における学校緊急支援の実践とその実践に対する対象者からのフィードバックの分析から,学校コミュティにおける支援チームの心理支援体制の有効性と今後の改善点について明らかにすることを目的とした。分析の結果から,学校が緊急事態から回復するためには,学校外部の属性を持った支援チームが入り,児童生徒や教師の傷つきや混乱を支えながら,学校をエンパワメントしていくことが有益であること,また,特に若手教員に対して緊急支援に関する心理教育を事前に行っていくことの必要性が示唆された。さらに支援チームは,教師自身も当事者であるという視点を持ち支援にあたることの重要性が示唆された。外部の支援チームと学校が協働して心理支援を展開していくためには,【心理教育】,【関係づくり】,【緊急時のシステム構築】といった予防の視点も含めた実践を行うことや,緊急事態になった際の対応シミュレーションを学校内だけでなく学校コミュニティで行なっておくことが重要であると考えられた。日頃から地域における支援システムやネットワークを構築していくことが重要であり,学校コミュニティに携わる心理職は,そのネットワークの一員として学校内外において心理教育や緊急支援マニュアルの作成などに主体的に関与していくことが求められる。