抄録
コミュニケーション能力は看護師の基本的な資質とされており,看護教育においても重要であるが,その育成方法は十分に確立されていない。著者らは,信頼関係に基づく対話によって行動を支援するコーチングが適していると考えたが,看護教育においてピア・コーチングのコミュニケーションスキルに対する効果を検証した論文は発表されていない。そこで本研究は看護学生を対象とした「人間関係論」の授業にコーチングを取り入れた実践を行い,効果を検証することを目的として実施した。38名の看護学生が,コーチ資格を持つ教員が担当し,コーチングの基本理念に基づいて演習を中心に行われる1コマ90分の人間関係論の授業を10回受講し,授業外では定められたペアの相手とピア・コーチングを実践した。その結果,授業前に比べ授業後には,コーチング・コンピテンシー自己効力感およびレジリエンスが有意に高まった。また,授業期間内に3回実施された自己受容的態度およびコミュニケーション能力に対する自己評価が有意に上昇した。看護学生がコーチング・コンピテンシーに対する自己効力感,レジリエンスを高め,自己およびコミュニケーション能力に対する効力感が上昇したことは,実習や資格取得後に患者と接する際の支えになると期待できる。