2022 年 16 巻 p. 11-25
これまでの研究では,リアルタイムで双方向のやりとりが可能なビデオ会議システムを用いたコミュニケーションの有効性については十分に検討されていない。また,アンケート結果をもとに学習者の意識の変化を調べた研究はあるが,学生・教師の双方の立場からメリット・デメリットを評価したものはない。本研究は,学習意欲や態度の育成およびコミュニケーションスキルの育成を目指す「英語コミュニケーション」科目における,対面学習と遠隔学習の違いを検証することを目的としている。質問紙調査を行い,5段階評価および自由記述項目の回答を分析した。その結果,初級学習者にとって対面での発話は非常にプレッシャーになること,遠隔授業での適度な距離感が快適なコミュニケーションにつながる可能性があること,リアクションツールやチャットなどの発話以外のコミュニケーション手段が有効に活用できることなどがわかった。これらの結果は,リメディアル教育において,コミュニケーションへの興味などの「態度」を育むためのヒントとなる。