論文ID: 2024.11.01.01
医学部の免疫学の講義において,コマの最後の10分程度をまとめの時間として録画し,LMSを通じてオンデマンドで配信した。その視聴回数は総じて試験の合否と相関しており,一部の試験区分では統計的に有意であった。相関に外れて追試問に回った者とのやり取りからは,日本語リテラシーの不足を窺わせるケースも多く,動画の内容把握がスムーズでないことが推察された。単位認定後のアンケートの記述をテキストマイニングで解析すると,再試験までの合格者は「確認」「整理」など,自律的な学びを示唆する語が多いのに対し,これらは追試問群では出現しない。対照的に「聞き逃し」「気づく」「本質」などメタ認知を用いて深い学びに到達した可能性を暗示する語が出現する。アンケート原文には「学びの本質を考え直さないと」など自らの日本語リテラシーを直視するような表現も多く,キーワードの羅列,すなわち表面構造(Kintz)でない,状況モデルの把握を目指したことが想定された。