2017 年 21 巻 1 号 p. 39-45
近年, 神経難病患者や障害者の介護者の介護負担軽減を図る目的で, レスパイトケアが普及しつつある. インスリン療法中の糖尿病患者の介護者の介護負担は大きく, 在宅療養を継続していくためには, 介護者の介護負担を軽減する必要があると考える. しかし, 糖尿病患者に対するレスパイトケアの受け入れは十分とは言えない現状である.
今回, 身体介護度の高い後期高齢1型糖尿病患者に対する家族看護介入として, レスパイトケアを調整した事例を経験した. 主介護者70歳代男性と従介護者40歳代男性の2名を対象とし, レスパイトケアによる家族看護介入について検討した. 介護負担の現状をインタビュー調査するとともに, Zarit介護負担尺度日本語版 (荒井・工藤, 2004) を用いて, レスパイトケアによる介護者の介護負担感の変化を調べ, 主介護者と従介護者を比較した. その結果, 両者とも『時間的制約感・心理的負担』を感じており, レスパイトケア実施による介護負担感の低下が認められた.
長期にわたる在宅療養を支えるためには糖尿病患者においてもレスパイトケアを考慮することが有用だと考えられた.