日本糖尿病教育・看護学会誌
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実践報告
看護師が援助に困難を感じた糖尿病外来患者に対する援助の手がかり―ディスカッションを通して―
瀬戸 奈津子平野 美雪林 弥江平野 直美大原 千園清水 安子正木 治恵
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2017 年 21 巻 1 号 p. 69-75

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抄録

本研究では, 糖尿病外来で看護師が援助に困難を感じていた糖尿病患者に対し, 看護師間のディスカッションを通して援助の手がかりを見出すことを目的とした. A糖尿病外来で看護師が援助に困難を感じている72事例を対象に, 「看護師が援助に困難を感じている理由」及び, 「困難に感じている状況を打破するための気づき」の2点が書かれている箇所を抽出し要約した. 次にディスカッションの中で見出された援助の手がかりを読み取り, 類似するものをまとめ質的帰納的に分析した.

その結果, 63事例から, 「患者の内面へ踏み込めなかったり, 振り回されている事例は, 主治医と連携し関わる」「患者への向き合い方に対して, 面接の場所や人をかえること, 身体への思いを聞くこと, 共通目標を立てる」「入院・治療が必要な病状であるにもかかわらず決定できないケースには, 入院治療の後押しをする」「身体の状態をとらえなおす気づきから, 身体への危機感・重要性・関心を高めるように関わる」等の16パターンの援助の手がかりが見出された. さらに16パターンの手がかりの焦点をとらえたところ, 【看護師の観点に関する手がかり】と【アプローチ方法に対する手がかり】の2つに分類された.

本研究で見出された援助の手がかりは, 必ずしも難しい看護援助ではなく, できるところから取り組むことが可能な外来看護援助の道標になると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
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