日本糖尿病教育・看護学会誌
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短報
ペン型インスリン注入器を介した血液曝露リスクに関するA病院看護師の認識調査
呉屋 秀憲具志堅 美智子
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2022 年 26 巻 2 号 p. 129-132

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抄録

個人のペン型インスリン注入器は血液逆流リスクがある.その為,打ち間違い事故発生時には,患者間の血液交差として対処されなければならない.ペン型注入器が臨床現場に導入された2008年に日米で看護師の認識不足による使い回し事故が多発した.米国ではその責任は看護師教育部門にあると指摘し,それ以降も教育活動が継続されている.一方,日本では厚生労働省が注意喚起をその年のみ行うに留まり,その後の打ち間違い事故報告書を見ると血液交差への言及は稀である.そこで,臨床看護師のペン型注入器を介した血液曝露リスクに関する認識を明らかにするため,予備的研究としてA病院看護師330名を対象にWeb調査を実施した.その結果,49.7%の看護師が血液曝露リスクを認識しておらず,約半数は打ち間違い事故後に血液交差として対処しない可能性が示された.毎年の新人教育で本件を指導してきたが,結果を踏まえ,マニュアル改訂と注意喚起ポスターによる継続的な教育を行った.本研究は1施設対象のため拡大調査が課題である.

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