2023 年 31 巻 p. 27-34
収蔵資料のうち、小規模な建築資料を用いて、調査研究を行える可能性を検討した。単独で展覧会を開催できる規模ではないが、現存する建築と資料の比較、他組織に収蔵されている資料と組み合わせることで、可能性は十分ある。今回は著者の担当であった渡辺仁と岸田日出刀の資料を対象とする。偶然、同時代の建築家であるが収蔵されている資料の質は異なる。岸田は他の収蔵施設の資料と組み合わせることで一般的な内容の建築資料となり、渡辺は、全体の量は少ないものの現存する作品と組み合わせることで、同氏の作品の位置づけの補強につながる可能性を考えられる。今後も継続して調査と研究を行うことで、近代建築の継承の意義を補強できる。