発達支援学研究
Online ISSN : 2435-7626
巡回相談を通した保育者支援
特別な支援が必要な子どもが所属するクラス集団への支援
平川 久美子
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 4 巻 1 号 p. 32-40

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抄録

保育の場において、障害児や「気になる」子どもなど特別な支援が必要な子どもに対する支援の充実がより一層求められているなかで、外部の専門家による巡回相談が実施されている。巡回相談は、保育者が特別な支援が必要な子どもを保育することを支援するというコンサルテーションという形で実施されていることも多い。保育所や幼稚園などの集団場面においては、特別な支援が必要な子どもとクラス集団とは互いに影響を及ぼし合うと考えられることから、特別な支援が必要な子ども個人への支援だけでなく、クラス集団への支援も同時に行う必要がある。特別な支援が必要な子どもと他児との関係づくりにおいては、「遊びを中心としながら、子ども同士が関わる機会を意図的に作ること」「特別な支援が必要な子どもだけでなく他児もまた、安心して快適に過ごせる環境を整えること」が重要であり、特別な支援が必要な子どもと他児の双方の意見が尊重されているかどうかも考慮しながら、特別な支援が必要な子どもと他児の育ちを支えていくことが求められる。今後は、巡回相談を通した保育者支援における支援の効果の検証が適切になされることが必要である。

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© 2023 日本発達支援学会
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