本稿では、保育所における要支援幼児の保護者支援について論じることを目的とした。まず、保護者を取り巻く生態学的な環境のひとつとして、この半世紀間に加速してきた少子化の経過を考察した。次に、この30年間、日本がどのような保育施策を行ってきたかが示された。特に、保育施設の拡大、インクルーシブ教育における幼児期と児童期の違い、保育現場における子どもの人権擁護など、発達支援の背景となる子育て環境について論じた。最後に、幼児期の保育施設における保護者支援をめぐる問題を取り上げた。また、「特別支援幼児の保護者による子育てのふりかえり」研究結果から、保護者側の視点からみえてくる課題や、支援者側の視点からは見逃されやすい課題などを再検討した。