抄録
本研究は、改革開放以降の中国農村地域における社会構造の変容がもたらした地域福祉サービス提供の課題と、それに伴う住民組織再編成の必要性を考察し、この文脈における地域社会教育活動の役割を明らかにすることを目的とする。文献調査を通じて、従来の行政主導型アプローチの限界を指摘するとともに、内発的な住民組織の再編成プロセスにおける地域社会教育活動の重要性を検討した。本研究では、農村コミュニティ教育(社区教育)の概念を拡張し、制度化された教育活動だけでなく、住民の自主的な学習活動や地域文化活動も分析対象とした。また 、教育機会の提供主体についても多様な主体の参加に着目した。分析の結果、地域に根ざした教育活動が住民の自主的参加を促進し、持続可能な地域発展の基盤を形成する可能性が明らかになった。この知見は、住民主体参加で農村地域の福祉サービス提供体制の再構築に向けた新たな研究課題設定の可能性を検証することが期待される。