夢を挑戦をあきらめるジュニア選手が多く存在することを、残念に思い、ジュニア選手の成長を支援したいと考えた。そこで、ジュニア選手の成長を支援することを目的として、支援プログラムを構成し、実践した。 実践した結果、ジュニア選手は、主体的で自律的に、自分の気持ちをコントロールしマネージメントできるように成長した。 また、ジュニア選手とのコミュニケーション方法を変えた結果、これまでにない良い戦績を収めただけではなく、前向きに今後の課題を話し合い、挑戦し続ける姿勢がみられるようになった。 ジュニア選手としての最後の全国大会では、良い戦績を収めた。さらに、大学進学後も、挑戦し続けている。 以上より、今回の支援プログラムは、ジュニア選手の成長を支援する取り組みの一例として示唆を与えるものであったと考えられる。
Many junior athletes abandon their aspirations during their athletic development. Concerned about this issue, the present study aimed to support the growth of junior tennis players by implementing a structured support program. Through this practical intervention, the athletes developed the ability to regulate and manage emotions in a more autonomous and proactive manner. Furthermore, changes in the communication approach between the coach and the athletes contributed not only to improved competitive performance but also to more constructive discussions regarding future challenges and continued efforts toward new goals. In the athletes’ final national tournament as junior players, a strong performance was achieved. Moreover, after entering university, the athletes have continued to pursue new challenges. These findings suggest that the support program presented in this study may provide a practical example of coaching practices that effectively support the development and growth of junior athletes.
摘要
筆者は、テニスコーチとして14年間、競技志向の小中学生を対象としたテニススクールで指導してきた。今回、高校生を対象にRUNWAY TENNIS ACADEMYを設立し、高校生を対象としてジュニア選手を募集することにした。RUNWAY TENNIS ACADEMYを設立したいきさつは、以下のとおりである。
筆者はコーチとして、中学生までに関東大会や全国大会に出場できるジュニア選手を育成することや、そのレベルに準ずるジュニア選手を育成し、高校に進学させる事を目標に指導してきた。高校に進学したジュニア選手たちは、さらに身体を鍛えて技を磨いて自身の競技力向上に努め、大学テニスやシニアテニスに挑戦していく事を願って指導してきた。
しかし、これまで、第一線から退くジュニア選手たちを多く目の当たりにしてきた。第一線を退くジュニア選手たちは、現実に気づき、自分の限界や自分の立ち位置に見切りをつけて、早々に競技テニスから身を引いてしまっていたようだ。中学生までは夢や希望に向かって、根拠のない自信を胸に挑戦していたジュニア選手たちであるが、自分の可能性に見切りをつけ、夢への挑戦を諦めてしまうのだ。そのようなジュニア選手を見ることは、とても残念であり、悔しい思いがあった。
残念であり悔しい思いを重ねるうちに、諦めがちなジュニア選手たちに、幼い頃見た夢を高校で終わらせないよう、高校生になったジュニア選手たちに対して支援できる有効なプログラムを作成したいと考えるようになった。
18歳を迎えると、ジュニアカテゴリーは卒業となるが、それはシニアカテゴリーへの準備期間が終わるだけであり、これからの挑戦はまだまだ続くものと考えている。したがって、高校生になったジュニア選手たちに対して支援できる有効なプログラムのコンセプトは、「すべては通過点」であるという考え方に基づいている。さらに、高校生になったジュニア選手たちを支援する有効なプログラムは、これから飛び立っていくジュニア選手たちの滑走路になることが使命であると考え、このプログラムを設立し、その名称を「RUNWAY TENNIS ACADEMY」とした。
筆者がコーチとして、滑走路の役割を果たす上で大切にしたいことは、結果にコミットする過程をマネージメントすることであると考えている。結果にコミットする過程とは、結果を大切にすることと、過程を育てることを大切にすることである。結果を大切にするとは、目標を達成できずに挫折を味わった場合の立ち直り方をマネージメントすることと、目標を達成した場合に、次の目標を設定し挑戦を続ける事ができるように、マネージメントすることである。過程を育てることを大切にするとは、レベルの高い結果を出す事が最重要項目ではなく、心技体を重要視するだけでなく、選手がどこまでもチャレンジしていこうとする向上心を持てるようにマネージメントすることである。
ただし、結果にコミットする過程の「結果」は、指導者のエゴによるレベルの高い目標及び結果ではなく、ジュニア選手が望む目標及び結果である。ジュニア選手自身が自分に課した目標を達成し結果を出す事は、ジュニア選手の自信につながるものと考えている。さらに、ジュニア選手が高校生で燃え尽きない為には、最終目標に近づき結果を出したら、さらにその先を見据えて新たな目標を立てることができるようにマネージメントすることが大切であると考えている。初めは最終目標であった目標も途中から通過目標に変わり、未来に向かって挑戦し続けることができるようにマネージメントすることが大切であると考えている。
以上のことより、本指導実践の目的は、ジュニア選手たちの成長を支援するための取り組みを構成し、その実践内容を報告することである。
ジュニア選手たちの成長を、主体的・自律的に考え、メンタル面をマネージメントし、未来に向かって挑戦し続ける、テニス人生をマネージメントできるようになることと定義した。
また、ジュニア選手たちの成長は、プレー技術や戦略の向上が基盤となるであろう。プレーが向上すると、ジュニア選手に自信が付き、自信に基づいてメンタル面を強くする素地が形成されるであろう。メンタル面をマネージメントし、明日を未来をマネージメントするためには、仲間同士によるディスカッションが有効であろう、という考えに基づき、取り組みを進めた。この指導実践を、支援プログラムと位置付けた。支援プログラムは、図1のようである。
図1 支援プログラム
2022年4月~2024年3月まで2年間実施した。
2.2 実践対象RUNWAY TENNIS ACADEMYに所属する高校生4名(ジュニア選手A・B・C・D)とその保護者を対象とした。
(1)ジュニア選手Aは、小学3年生から中学3年間を筆者(コーチ)が指導してきた。中学3年生の時は、全国大会に出場し、筆者が試合の帯同(コーチとして試合に同行すること)を行った。また、プロテニスプレーヤーになる為の講義を受けている。
(2)ジュニア選手Bは、中学2年生から筆者(コーチ)が指導してきた。向上心があり、何事にも意欲的に取り組める選手。全国大会での経験が少なく、高校では全国大会で活躍することを目標にしていた。
(3)ジュニア選手Cは、小学5・6年生を筆者(コーチ)が指導した。中学生の時は別のテニスクラブに所属していたが、思ったような結果は出ず。上達しない自分に対して、自信を持てていなかった。
(4)ジュニア選手Dは、高校1年生から指導を始めた。勝利のへの執着心や大事な場面での集中力が高い選手であったが、戦術に対する知識は多くなく、走り込みのトレーニングは経験していたが、運動生理学に基づいた体の使い方の知識はなかった。
2.3 倫理的配慮調査対象者およびその保護者に対して、本取り組みの意義や目的および本取り組みへの参加は任意であることを説明した。その上で、参加・協力について, 調査対象者及びその保護者の同意を得た。また、本論文での執筆と掲載についても、その意図や目的および匿名性の保持について説明した。その上で、論文での執筆と掲載について、調査対象者及びその保護者の同意を得た。
RUNWAY TENNIS ACADMYが掲げる指導方針と理念を、ジュニア選手、保護者、筆者で共有した。試合に勝てない時期があった場合に、指導方針や理念があることで、目指す方向を見失わないようにとの思いから実施した。
3.1.2 実践内容保護者から「レギュラー争いに勝つために指導してほしい。」「部活だけでは、指導が物足りないので、見てほしい。」という要望を聞き、保護者が望む指導方針と筆者が目指す指導方針が異なることを感じた。そこで、筆者が目指す指導方針やRUNWAY TENNIS ACADMYの理念を理解してもらうために、ジュニア選手とその保護者に対して話し合いの場を設定した。RUNWAY TENNIS ACADMYの目指す姿、つまり、筆者が目指すものは、高校3年間の結果に対してのみコミットする事ではなく、競技活動を通じて心技体を鍛え、自分のために挑戦を続けていくジュニア選手を育成することである。
ジュニア選手・保護者・筆者との間で、活動方針や支援方針の基準を明確に共有した。今後活動を続けていく中で、ジュニア選手は目の前の試合で結果を出すことに全力を尽くすので、結果に一喜一憂してしまう傾向がある。そして、全国大会の団体戦部門で上位に入賞する為にはレギュラー奪取が必須になる。レギュラーを決定する権利は監督が持っているので、監督の評価を気にすることで自らの判断に迷いが生じることもある。ジュニア選手が努力している姿を間近で見ている保護者も、過剰に支援をして、ジュニア選手の行動をコントロールしてしまう事がある。
ジュニア選手の意思が尊重されない場面になった際、ジュニア選手を守るために、活動方針や支援方針の基準があると、自分が進んでいる道のりに気付き、高校を卒業した後の自分を想像しながら練習を計画することができると考えたからである。
3.1.3 保護者に対するアプローチの詳細保護者とジュニア選手に対して、RUNWAY TENNIS ACADMYの理念や方針を理解してもらう事を目的にPowerPointと動画を活用して説明した。図2に示すPowerPoint資料を活用した。

ジュニア選手達と筆者による話し合いを実施した。ここでは、主にテニス人生は高校で終わらない事を理解させられるように話を進めた。その結果を受けて、それぞれの保護者と筆者による話し合いを実施した。保護者が望む指導方針とRUNWAY TENNIS ACADMYが掲げる指導方針を擦り合わせた。その後、ジュニア選手・保護者がRUNWAY TENNIS ACADMYの指導方針に合意したことを書面にて記録に残した。
3.1.4 実践から得られた示唆(1)ジュニア選手たちとの話し合いによる成果
8月に開催される全日本ジュニアテニス選手権に向けた、県予選である埼玉県ジュニアテニス選手権大会が終了した。ジュニア選手Aは、関東大会への出場権は獲得したものの、思うような結果が出せなかったため、焦りや不安が大きくなっていた。目の前の結果だけで自分を評価していたためか、結果が出せなかった事で、自分の可能性を否定し、目標としている全国大会ベスト4が焦りや不安を助長させる状態になっていた。
埼玉県ジュニアテニス選手権大会の試合結果に対して、感情に基づく抽象的な評価をしていたジュニア選手Aであった。そこで、RUNWAY TENNIS ACADMYの指導方針や理念に基づき、結果の受け止めた方について話し合いを続けるうちに、試合結果は、最終目標に向けての通過点として評価し、試合中のプレー内容の変化を客観的・具体的に分析することができるようになった。すなわち、試合結果を前向きに捉えられるようになったという事である。
さらに、自分の課題を理解して練習に取り組めるようになり、練習後には、具体的な反省ができるようになった。そのため、練習の成果も高まっていった。
ジュニア選手Aは、目の前の試合結果から現在の自分自身を自己評価していたが、最終目標に向けた過程に対する自己評価に変えることができたのである。この変化は、大きな成果といってよいものと考える。
(2)保護者に向けた説明 (PowerPointと動画)による成果
始めは、「レギュラー奪取の為にRUNWAY TENNIS ACADMYに入会させたい。」「高校の部活だけでは、心もとないのでRUNWAY TENNIS ACADMYの練習に参加させたい。」と考えていた保護者や「最低限レギュラーになってもらいたい。」と願う保護者。「高校生大会で全国大会に出場してもらいたい。」と願う保護者がいた。これらの願いは、みな短期間での結果を求めているのである。
また、「強くなりたい」「強くなってもらいたい」という思いは、ジュニア選手・保護者・筆者の3者が共通して持っているものである。しかし、「強くなる」とは、曖昧な目標でもあった。
しかし、RUNWAY TENNIS ACADMYの理念や活動方針・支援方針の説明を聞き、話し合いをするうちに、保護者達も、中長期でジュニア選手たちの成長を見守ることの必要性に共感するようになっていった。「目先の結果に捉われず、最終目標に向けた課題にコミットする」と言う、方針に理解を示してくれたのである。
今回の説明会後、ジュニア選手A、ジュニア選手B、ジュニア選手Cが、正式にRUNWAY TENNIS ACADMYの入会を決定した。RUNWAY TENNIS ACADMYの理念や活動方針・支援方針が評価される結果となったと思われる。
その一方で、結果が出なくては大学の推薦を取得することもできず、ジュニア選手本人の自己肯定感も上がらないのではないかと心配する保護者もいた。
(3)活動方針や支援方針の共有の成果
以上のように、RUNWAY TENNIS ACADMYの理念や活動方針の理解を共有することは成果があったと思われる。今後の課題として、ジュニア選手たちの自己肯定感を上げていくということも加味された。
3.2 実践2:2022.9 下半期のフィードバック(ジュニア選手・保護者・筆者によるミーティング) 3.2.1 実践目的ジュニア選手のテニスシーズンは、8月の全国大会で1年間のシーズンが終了し、9月から新たなシーズンが始まる。そのため、新たなシーズンに向けて2022年3月から2022年8月まで(下半期シーズン)のフィードバックを行った。フィードバックは、ジュニア選手・保護者・筆者によるミーティング形式を採用した。
3.2.2 ミーティング実施の詳細2022年3月から2022年8月(下半期シーズン)の活動をフィードバックするために、ジュニア選手・保護者・筆者によるミーティングを実施した。
ジュニア選手ごとそれぞれに、ジュニア選手と保護者・筆者を交えた3者が、以下の項目・内容でミーティングを行うという方法により実施した。
(1)戦績の振り返り
(2)下半期シーズンの練習内容と成果の振り返り
上記項目の実施目的・内容は次のとおりである。
実施目的は、保護者にジュニア選手の成長を正しく理解してもらうことである。保護者は、普段練習を観ることが多くないため、戦績のような目に見える成果でジュニア選手の成長を判断する傾向にある。戦績が成果として現れるには、様々な要因が絡まるため、戦績が出なかったジュニア選手に成長が見られないと判断する事はとても安易な評価で、危険であると考えている。そのため、筆者(コーチ)が、戦績だけでは分からない部分を保護者へ説明することは、非常に大事であると考える。技術面・体力面・精神面・戦略面・人間的成長など、様々な角度からジュニア選手の成長を説明し、ジュニア選手の活動を正しく理解してもらうことを目的とし、ミーティングを実施した。
実施方法は、まず、ジュニア選手の戦績や練習成果を報告した。次に、技術面・体力面・精神面・戦略面・人間性などの成長を報告した。最後に、保護者からの質問を受けた。
(3)課題の共有
9月から始まる新たなシーズン(上半期シーズン)に向けての課題を、ジュニア選手と保護者・筆者で共有した。ここで大切にしたことは、できていない事を羅列して、やらなくてはならない事だけを共有するのではなく、課題を改善できた後に、変化した自分のプレーを想像できるように説明を行なった。
相手に勝つという目的は共通だが、勝ち方は個々によって違いがある。ジュニア選手それぞれの特徴をジュニア選手自身が理解し、特徴を活かしたプレースタイルを構築できることを課題として共有した。持っていない能力を補う事と、持っている特徴を伸ばす事の両面から取り組む方向性を明らかにした
(4)今後の課外活動の提案
課外活動とは、普段行っている週3回のRUNWAY TENNIS ACADMYにおける練習以外の活動のことである。ジュニア選手ひとりひとりの目標が異なるため、課外活動はジュニア選手ごとに異なる。具体的には、大学の練習に参加させてもらうことを筆者(コーチ)から提案するジュニア選手や、国内で行われる国際大会の出場を筆者(コーチ)から提案するジュニア選手もいる。
今後の課外活動の提案を行う際に、次の点に留意した。
まず、保護者に対しては、中長期的な金銭を含む支援の必要性を承知してもらえるよう相談した。すぐに成果が現れない場合においても、成果を上げるためには経験値を積み重ねることが必要である。そのため、中長期的な課外活動の支援を承知してもらうことが必要だと考えたからである。
次に、ジュニア選手それぞれに対して、今後の課外活動の機会がジュニア選手ごとに異なる事を理解してもらえるように説明した。これまでは、選手全員が同じ活動をしてきたため、異なる活動をする選手が贔屓されているような見方にならないように留意した。
3.2.3 実践から得られた示唆課外活動実施後の成果は、以下のとおりである。
(1)大学生との練習に参加した成果
ジュニア選手たちは、大学生と比較して体力がないためボロボロの練習になってしまった。練習後のジュニア選手たちの感想は、
ジュニア選手A「1日練習をしたことがなくついていけない。」
ジュニア選手B「素晴らしい環境の中でこれからも練習していきたい。」
ジュニア選手C「長い時間練習する意味がわからない。」
ジュニア選手D「思ったよりも自分の実力が通用した。」
と、選手たちの受け止め方はさまざまであった。
ジュニア選手Cの発言を受けて、長時間練習する意味を伝えた。そして、大学生との練習が有意義であり自分に必要だと判断したジュニア選手は、大学生との連絡先を交換し、個別に参加することにした。
大学生との練習が、ジュニア選手自身にとって有意義であるか否かを自身で判断することは、主体性や自律性を尊重することにより、主体性や自律性を育成するためである。さらに、他の人と違うレベルの高い課外活動に参加する事で、参加を決断したジュニア選手の自信につながるのではないかと考えたからである。また、大学生との練習は、練習強度が強い為、意欲のある選手でないと怪我をする恐れがあると考えたからである。
大学生との練習に参加するという課外活動における成果は、ジュニア選手たちの自主自律という精神的成長及び自分に対する自信に、大きな影響を与えたことである。
最終的に全てのジュニア選手が大学生との練習に参加すると決断し、今回参加した大学以外でも練習を希望したので、他の大学とも連絡を取り合い、練習環境を整えた。
(2)International Tennis Federation大会に参加した成果
複数のジュニア選手がInternational Tennis Federation大会にエントリーしたが、世界ランキングを持っていないジュニア選手のB・C・Dたちは足切りにあい、世界ランキングのあるジュニア選手Aのみが出場した。ジュニア選手Aは、予選を勝ち上がり本戦に出場したが、1回戦で負けた。
試合後の「思ったより通用した。」というジュニア選手Aの言葉からも、自分自身のテニスプレーヤーとしての実力に自信が持てたようである。今まで気づかずにいた自分自身の実力を知る良い機会となったようである。
また、世界レベルのジュニア選手を相手に試合をすることで、自分自身に足りていない新たな課題を理解したようであった。
International Tennis Federation大会に参加するという課外活動における成果は、ジュニア選手Aの自信と今後の課題・方向性を明らかにしたことである。
(3)AWAY(遠征地・先方チームの試合会場)で対外試合を実施した成果
AWAYでの対外試合は、4回実施した。回を追うごとにAWAYをHOME(当方チームの試合会場)に変える時間が短くなった。つまり、不慣れなコートでの緊張した感覚から,リラックスし自分の実力を十分発揮できる状態になる時間が短くなったのである。
AWAYでの対外試合において成果を上げるために、次のことを毎回実施した。それは、試合開始時間よりも早めに先方会場に到着し、会場施設をひと回りすることである。そのねらいは、ジュニア選手自身が気持ちにゆとりを持てるようになり、自分で自分の気持ちをコントロールできるようになることである。ジュニア選手もその効果を自覚していた。
4回に及ぶ対外試合の成果は、徐々にではあるが、勇気ある実験ができ、結果だけにコミットするような取り組みが減ったことである。
また、4回の対外試合の経験から、ジュニア選手がそれぞれに自身の課題を整理できたことも、大きな成果である。ジュニア選手たちの課題は以下のようである。
3.3 実践3 2023.6 選手ミーティング(自分の分析、チーム目標決定) 3.3.1 実践目的①ジュニア選手Aの課題
・高校生の早くて重いボールでも、自分の打点に入って打つこと。
・動きのスピードを落とさない。
②ジュニア選手Bの課題
・ボールを待たずに自分からボールに向かって行くこと。
・フォアのクロスとストレートのギャップを出した展開にすること。
③ジュニア選手Cの課題
・練習で意識している事と試合で考える事を同じにする。
・試合後に客観的な反省ができるようにする。
④ジュニア選手Dの課題
・3球以内にポイントを奪取できるようにショットの精度を高める。
・肩の高さで打てる回数を増やせるよう、フットワークを身につける。
2023年6月に、ジュニア選手4名と筆者のみでミーティングを実施した。今回のミーティングは、ジュニア選手Aの相談がきっかけとなり実施に至った。
ジュニア選手Aの相談は、「このままでは、全国大会で上位を狙ってける気がしない。練習量も足りない気がするし、お互いにもっと高い意識でアカデミーの練習をしないといけないと思う。高校の部活動でも団体戦を勝ち抜いていけるチームにしていきたい。そのためには、何をしたらよいか教えてほしい。」という事であった。
ジュニア選手Aの相談の背景には、以下のようなことがあると考えられる。具体的な目標があり課題の克服に向けて計画的な練習をしているジュニア選手と、目標が不明確なまま練習に取り組むジュニア選手では、練習時の集中力や練習に取り組む姿勢に差が出てしまう。そのため、目標の差が練習意識の差につながっていくのではないか。テニスは、個人競技ではあるが、RUNWAY TENNIS ACADMYの場合は、個人練習ではなくグループ練習をしているため、 ジュニア選手ごとの目標に差が出ると、それぞれのジュニア選手から練習意識の差による不満が出てくることが考えられる。
練習意識の差による不満を解消し、グループ練習を効果的なものにするためには、ジュニア選手が相互に意見を出し合い、認め合うことが必要であると考え、選手ミーティングを計画した。選手ミーティングをすることで、選手たち自身が話し合いながら考えて行う、主体性のある練習へ変化するであろうと考えたのである。
3.3.2 選手ミーティングの詳細今回の選手ミーティングの目標と内容は、次のとおりである。
選手ミーティング目標は、ジュニア選手4名が、チームとして目指すべき方向を、チーム目標及びチームとしての課題を共有することである。
選手ミーティング内容は、以下の2段階で実施した。
まず、ジュニア選手4名それぞれが、現在の自分の特徴や長所・武器を、テクニック・フィジカル・メンタル・タクティクス・その他・オフコートの分野に分けて分析した。
その目的は、自分のことを知らない選手がチーム全体の事を考える事は困難であると考えたためである。また、分析した分野ごとに理想の自分の姿を明らかにした。
これらの作業から、できる事・やりたい事・なりたい自分を明らかにし、自分が進みたい方向を整理し明確にした。これもまた、自分のことを知らない選手がチーム全体の事を考える事は困難であると考えたためである。
次に、チーム目標を決定するためにジュニア選手4名はディスカッションを行った。はじめ、ジュニア選手の思うチーム目標は、以下のようで、それぞれのジュニア選手間に意識差があった。
ジュニア選手A「全国大会ベスト16でも現実的には難しい。」
ジュニア選手B「目標は高い方が良い、全国優勝に向けて活動すれば良い。」
ジュニア選手C「間をとって、ベスト4やベスト8がいい。」
ジュニア選手D「ベスト8がどのくらい難しいかわからないので目標は決められない。」
それぞれの意識差を縮めるためにディスカッションを重ねた。その際、できる事を目標にするのでなく、なりたい自分を、チーム目標に反映させられるようにアドバイスを行なった。その結果、最終的なチーム目標は、シード校を1度倒さなくてはいけない、倒したいという考えから、全国大会における団体戦でのベスト8を目標とした。
最後に、ディスカッションにより決定した目標を達成するために必要な今後の課題を、提案し合い、意見交換をしながら決定した。
これまで、目標を達成するための課題を考え決定する作業は、ジュニア選手がそれぞれ個人的に行っていた。しかし今回は、ジュニア選手たち全員で協議して決めたチーム目標であるため、チーム目標を達成するための課題も、チーム課題とし、ジュニア選手全員で協議した。協議内容はさまざまであった。試合でなかなか勝てない選手は、自らの言葉で課題や改善点を説明する事が苦手な様子であった。試合で多く勝っている選手は、課題が具体的であり、様々な視点から分析していた。具体的には、自分たちの長所を理解していて、弱点の克服だけを課題にはせず、さらに長所の中で磨きをかける部分も指摘していたのである。協議が深まるにつれて、試合でなかなか勝てない選手の考え方に変化がみられるようになった。試合で多く勝っている選手の考え方に、刺激を受け、影響を受けたのではないかと思われる。
今回のミーティングでは、協議を深めるためにマンダラチャートを活用した。今回活用したマンダラチャートは、まず、目標を達成するために必要な8つのタスクを挙げた。8つのタスクを達成するための具体的な行動をさらに8つずつ挙げた。マンダラチャートは、このように、実際にやらなければならない事をわかりやすく整理していく為の設計図として、効果的であった。ディスカッションにより決定した課題を、チーム全員の課題として共通認識した。
さらに、課題に対する達成度を測れるように工夫することで、練習量の少なさで不安になることを防ぐ効果も得られると考えた。
3.3.3 実践から得られた示唆課題を明確にし、その課題を文章化し、文字にして掲示した。その結果、ジュニア選手それぞれが、日々の練習において個々の課題を強く意識できるようになった。さらに、選手同士がチームとして成長できるように、声を掛け合いお互いに励まし合う姿が多く見受けられるようになった。これは、今回のミーティングの成果であると考えられる。また、ジュニア選手たちの練習に臨む姿勢や取り組み方が、これまでの練習とは明らかに違って見えた。取り組み方の変化としては、試合を想定しながら練習ができるようになったことがあげられる。試合を想定しながら練習するということは、これまではできていなかったことから、これも今回のミーティングの成果であると考えられる。
このように、これまではできていなかった事を修正できたというジュニア選手たちの自信は、残された他の課題も、ジュニア選手たちの力によって改善されていくものと思われる。
3.4 実践4 2023.11 新たな課題に向けた指導方法の向上(スポーツ科学セミナーを受講して) 3.4.1 実践目的ジュニア選手たちは、試合において、ミスを犯さないためのリスクマネジメントを意識したプレーをする事ができるようになっていた。しかし、対戦相手を倒す為の精神面には、弱さが見受けられた。また、攻撃的なアイディアの貧しさも見受けられた。
そこで、次の課題は、攻撃的で積極的な思考やプレーを身に付けることであると考えた。攻撃的で積極的な思考やプレーを身に付けさせるためには、レベルアップした指導法を研究する必要があると考えた。指導法をレベルアップさせるために、Y氏の講演「Sセミナー」に参加した。
3.4.2 「Sセミナー」で学んだこと「Sセミナー」で学んだことは、ジュニア選手とのコミュニ―ケーションの取り方である。Y氏は、ジュニア選手の意見を否定や訂正することはせず、常にジュニア選手の意見や考えを尊重していた。同コーチによるジュニア選手への声掛けは、指示ではなくアドバイスであった。同コーチのアドバイスを受けたジュニア選手も、アドバイスをコーチの指示ととらえるのではなく、これまでジュニア選手自身が考えていたプランとコーチのアドバイスを連結し、新たなプレーへ進化させていた。
3.4.3 実践から得られた示唆「Sセミナー」を受講した成果は、筆者(コーチ)が、ジュニア選手とのコミュニケーションの取り方を変化させたことである。変化させたのは、もちろん、ジュニア選手たちのプレーを進化させるためである。以前の「声掛け」では、試合中にやるべき事をジュニア選手と共有し、その上で、やるべきプレーを中心に練習を構成していた。しかし、同セミナー受講後は、やっても良い事を共有するコミュニケーションに変えた。ジュニア選手とやるべきことを共有する、つまり義務を課すのでなく、やってもよいことを共有する、つまり権利を与えるコミュニケーションに変えた。このことは、「Sセミナー」を受講した成果である。
筆者(コーチ)の変化は、ジュニア選手たちに大きな成長をもたらした。ジュニア選手たちの成長が、「Sセミナー」を受講した成果であるということは言うまでもない。
ジュニア選手たちの成長は、KTA杯U18関東ジュニアテニストーナメント2023に参加したときに明らかとなった。戦績もベスト4と、これまでにない良い結果となった。しかし、筆者(コーチ)が注目したのは、試合結果だけではなく、メンタル面の成長が大きかったことである。試合後の反省会でのことである。反省会では、準決勝で負けたにもかかわらず、その負けを冷静に受け入れ、気持ちを強く持ち、前向きな発言が増えていたのである。今回の試合結果をどのように考え、どのように分析し、今後を見据えてどのようにしていけばよいのかを話し合えていたのである。さらに、なぜそうしたいのかという心情までも含めて話し合えた。
これは、「Sセミナー」を受講した成果である。同時に、ジュニア選手たちの考え方が、RUNWAY TENNIS ACADMYのコンセプトである「挑戦し続ける」「すべては通過点」という考え方に近づいてきたと感じた。
反省会後、ジュニア選手Aが「まだ伸びしろがある、って事ですよね。」とつぶやいたのである。この言葉こそまさに、「挑戦し続ける」チャレンジしていこうとする向上心のあらわれであると感じた。「挑戦し続ける」チャレンジしていこうとする向上心の育成は、筆者(コーチ)の目指すものである。
ジュニア選手たちの成長を確固たるものにすることが、今後の筆者(コーチ)の使命であると強く意識した。
KTA杯U18関東ジュニアテニストーナメント2023後、2名の保護者から「息子が、大学でもテニスを続けてみたいと言うようになった。」という報告もあった。
3.5 実践5 2024.2 全国大会に向けての選手ミーティング 3.5.1 実践目的全国大会を翌月に控えた2024年2月、全国大会の対戦表が発表された。目標としているベスト8に進出するには、3回戦で昨年度の優勝校に勝たなければならなかった。対戦表を見て、前向きな準備をしているジュニア選手もいれば、現状の仕上がり具合に不安を抱えている選手もいた。不安を抱えていたジュニア選手は、全国大会前の練習試合において、小さなミスに対して拘ってしまい、対戦相手との駆け引きをする事ができなくなっていた。一つのミスも許されない状況で、完璧なプレーをしようとしていたためかと考えられる。さらに練習試合後は、自分自身へのストレスが大きくなり、全国大会に対しても、マイナスのイメージを持っているように見受けられた。
このような状況を鑑みて、全国大会に向け、戦う心構えを共有する必要があると考えて、選手ミーティングを計画した。
3.5.2 全国大会に向けての選手ミーティングの詳細今回の選手ミーティングの目的は、RUNWAY TENNIS ACADMYの理念を確認し、その趣旨から全国大会に向け、戦う心構えを明らかにすることである。RUNWAY TENNIS ACADMYの目標は、「挑戦し続ける」事がキーワードであり、目指す選手像は、「自律した選手」である。「挑戦し続ける」とは、直前に迫った全国大会で結果を出せるように準備する事も大切であるが、これから続いていく競技生活においては、全国大会も通過点に過ぎないため、過度に目の前の成果にとらわれすぎず、今後を見据えて挑戦する意欲を大切にすることである。「自律した選手」とは、自分で自分の行いを規制することで、外部からの力にしばられず、自分が立てたプレー規範や生活・行動規範に沿ってプレーをマネージメントできる選手である。プレー規範とは、相手を見る・コースを隠す・相手を騙すことである。
RUNWAY TENNIS ACADMYの目標をジュニア選手たちと筆者との間で共有し、今後の活動の方向性を明らかにした。まず、プレー規範を再確認し共有する事で、チーム全体のやるべき事を整理した。次に、個人がやるべき事を整理した。やるべきことを妥当に整理するためには、真正な自己評価・相互評価が必要である。練習や試合の成功体験や失敗体験を、チーム全員で、成功した原因や失敗した原因を俯瞰的に分析し、真正な自己評価・相互評価を行った。真正な相互評価に基づき、以下の点についてディスカッションし、チーム全体のやるべきことを整理した。
(1)我々が全日本レベルに匹敵するものは何か。
(2)我々が全日本レベルよりも劣っていることは何か。
(3)我々が全国大会で強敵たちと対等に戦うために必要なことは何か。
ディスカッショ結果から、今の自分たちにできることを自覚し、活動の方向性を共有し勝つ為の準備をすることにした。
次に、ジュニア選手個々人がやるべき事を整理した。チーム全体で行った相互評価・自己評価に基づき、今後の自分自身の新たなプレー規範を作り、チーム全体に表明した。チーム全体に表明したのは、言葉にすることで、やるべき事を明確にし、迷いなくプレーする事ができるようにするためである。
新たなプレー規範を作成するのに役立つ成功体験や失敗体験とは、強敵を相手に勝つ為の準備をして臨まなければ経験できない。互角の試合をする為の準備をして臨んだ試合は、互角の試合をする為の準備であり、相手に勝つためのものではない。相手を見る・コースを隠す・相手を騙すというプレー規範に基づき、生き生きと戦った試合で体験したものを、俯瞰的に評価することで、新たなプレー規範が作成できるものと考えている。
したがって、RUNWAY TENNIS ACADMYの目標である「挑戦し続ける」を達成するためには、今回の全国大会を通過点として、勝つ為の準備をして大会に臨むことが不可欠なのである。
3.5.3 実践から得られた示唆ジュニア選手は、主体的で自律的に、自分の気持ちをコントロールしマネージメントできるように成長した。その成果が、以下の大会での戦績につながったものと考える。
また、大学進学後も、テニスを継続することで、人生に挑戦し続けている。
以上より、今回の支援プログラムは、有効であったといえるであろう。
本指導実践の目的は、ジュニア選手たちの成長を支援することを意図した取り組みを構成し、その実践内容を報告することである。
ジュニア選手たちの成長を、主体的・自律的に考え、未来に向かって挑戦し続ける、テニス人生をマネージメントできるようになることと定義した。
ジュニア選手たちの成長は、プレー技術や戦略の向上が基盤となるであろう。プレーが向上すると、ジュニア選手に自信が付き、自信に基づいてメンタル面を強くする素地が形成されるであろう。メンタル面をマネージメントし、明日を未来をマネージメントするためには、仲間同士によるディスカッションが示唆を与えるであろう、という考えのもと、取り組みを進めた。この取り組みを、支援プログラムと位置付けた。
支援プログラムにしたがい、ディスカッションを中心としたミーティングを活用して実践した。
ミーティングと得られた示唆は、以下の通りである。
(1)RUNWAY TENNIS ACADEMYに応募したジュニア選手と保護者に対して、活動中に目指す方向を見失う事のないよう、活動方針や支援方針を説明するためのミーティングを行った。
(2)今シーズンの活動に対するフィードバックをするためのミーティングを行った。ジュニア選手・保護者・筆者で実施した。今シーズンの活動を通して見られた変化は、以下の通りである。
①大学生との練習に参加したことによる変化である。
大学生との練習に参加するか否かを、ジュニア選手たち自身で判断した。このことは、ジュニア選手の主体性や自律性を育成したという変化があった。
②International Tennis Federation大会に参加したことによる変化である。
世界ランキングのあるジュニア選手のみが出場できる大会である。参加したジュニア選手は、プレーに対する自信を強くし、さらに、ジュニア選手は自らの力で、今後の課題・方向性を明らかにできたという示唆があった。
③AWAYでの対外試合に参加したことによる変化である。
不慣れなコートでも、気持ちにゆとりを持てるようになり、ジュニア選手自身で自分の気持ちをコントロールしマネージメントできるようになった。また、ジュニア選手がそれぞれに、自分自身の課題を整理できたという示唆があった。
(3)ジュニア選手同士における、目標や練習意識の差を解消するためにミーティングを実施した。
目標や練習意識の差を解消し、グループ練習を効果的なものにするために、ミーティングを実施した。ディスカッションを通して、チームや個人の目標および課題を明確にした。その結果、練習場面で、課題を強く意識しながら、声を掛け合いお互いに励まし合うようになった。これは、今回のミーティングを通して見られた変化である。また、試合を想定しながら練習ができるようになったことは、大きな変化である。
(4)Sセミナーを受講した。
次の課題は、攻撃的で積極的な思考やプレーをジュニア選手が身に付けることであった。そのために、筆者(コーチ)は、Sセミナーを受講した。その成果は、筆者(コーチ)とジュニア選手とのコミュニケーション方法を変えたことである。指示からアドバイスに変えたのである。筆者(コーチ)がコミュニケーション方法を見直したことにより、選手との関わり方に変化が見られた。
そして、筆者(コーチ)の変化により、ジュニア選手たちが成長したことは、付随して見られた変化である。具体的には、KTA杯U18関東ジュニアテニストーナメント2023で、ベスト4を勝ち取ったことである。さらに、ジュニア選手たちのメンタル面が、大きく成長したことである。試合後の反省会で、準決勝での負けを冷静に受け止め、試合結果を俯瞰的に分析し、前向きに今後の課題を話し合えたのである。
ジュニア選手たちの考え方が、RUNWAY TENNIS ACADMYのコンセプトである「挑戦し続ける」「すべては通過点」チャレンジしていこうという考え方に近づいてきたと感じた。
(5)全国大会に向けての選手ミーティングを実施した。
全国大会の対戦表を見て、前向きな準備をしているジュニア選手もいれば、不安を抱えている選手もいた。不安を抱えている選手は、マイナス思考に陥っているようであった。そこで、全国大会に向けた心構えを共有するために、ミーティングを実施した。
今回のミーティングの目的は、RUNWAY TENNIS ACADMYの理念を確認し、その趣旨から全国大会に向け、戦う心構えを明らかにすることであった。
ディスカッションにより、今の自分たちにできることを自覚し、活動の方向性を共有し勝つ為の準備をすることができたことは、大きな成果であった。
以上のことより、
ジュニア選手たちの成長は、プレー技術や戦略の向上が基盤となるであろう。プレーが向上すると、ジュニア選手に自信が付き、自信に基づいてメンタル面を強くする素地が形成されるであろう。メンタル面をマネージメントし、明日を未来をマネージメントするためには、仲間同士によるディスカッションが示唆を与えるであろう、という考えのもと、取り組みを進めた。この取り組みを、支援プログラムと位置付けた。支援プログラムは、図1(1.問題と目的に示す。)のようである。
本実践を通して、支援プログラムはジュニア選手の成長を支援する取り組みの一例として、一定の示唆を与えるものであったと考えられる。
さらに、今回の指導実践で明らかとなったことは、ジュニア選手とコーチとのディスカッションを、指導形式からアドバイス形式にするという事である。アドバイス形式にすることで、ジュニア選手は、主体的・自律的に考え、未来に向かって挑戦し続ける、テニス人生をマネージメントできるようになるという事である。
本実践は、1事例の報告ではあるが、今後、同様の取り組みが指導現場において継続的に実践・蓄積されていくことで、ジュニア選手の成長を示唆する指導のあり方について、さらなる示唆が得られる可能性があると考える。
また、主体的・自律的に考え、未来に向かって挑戦し続け、自分の人生をマネージメントできるようなジュニア選手が、多く誕生することを願っている。