抄録
本論文では2008年岩手・宮城内陸地震において震度6強を観測しながら、地震波形が現存していない一迫、衣川震度観測点の加速度フーリエスペクトルと加速度応答スペクトルを推定した。まず、マグニチュード6~7クラスの地殻内地震で得られた地震観測記録を用い、最大加速度、計測震度、地震動スペクトルの卓越周期によって加速度フーリエスペクトルと加速度応答スペクトルの推定式を求めた。続いて、推定式を求める際のデータに含まれていない自治体観測点に対して、加速度フーリエスペクトルと加速度応答スペクトルを推定したところ、観測値と概ね対応した。最後に一迫、衣川観測点の加速度フーリエスペクトルと加速度応答スペクトルを推定したところ、周期1秒以下の短周期成分が卓越することが明らかになった。