日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
論文
地震動のエネルギー指標に基づく地震動予測結果の妥当性評価
平井 俊之澤田 純男
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2012 年 12 巻 1 号 p. 1_31-1_42

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抄録
統計的グリーン関数法等の手法を用いて予測された地震波形の妥当性は,最大加速度値や最大速度値等を指標として距離減衰式等との整合によって評価されることが多いが,これらの指標の予測値には大きなばらつきが生じることが知られており,地震動予測結果の妥当性を評価することは容易ではない.本研究では,地震動のエネルギー指標に着目し,入射エネルギー密度と名付けた量を地震動予測結果の妥当性評価へ適用する場合の利点について検討した.モデル断層を想定し,統計的グリーン関数法を用いて周辺地点における地震動予測を行い,入射エネルギー密度,最大加速度値,最大速度値を算出して比較検討した.アスペリティの大きさに関するパラメータスタディを行った結果,入射エネルギー密度を用いることによって,地震動予測結果について地震の規模に応じた合理的な評価が得られた.また,入射エネルギー密度は,統計的グリーン関数法に用いる要素地震波形の位相特性や地盤の違いに起因するばらつきが小さいことがわかった.これらのことから,地震動の入射エネルギー密度を加えることによって,地震動予測結果の妥当性をより合理的に評価できる可能性があることがわかった.
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© 2012 一般社団法人 日本地震工学会
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