抄録
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東日本の広域にわたって甚大な被害を引き起こした。またこの地震によって、陸上では最大約5 mの地殻変動が観測された。本研究では、地震前後に撮影された高解像度衛星TerraSAR-Xの強度画像を比較し、無被害の建物の2時期の位置ずれを検出し、これを地殻変動と見なす手法を提案した。最初に、地震前後の強度画像から後方散乱係数の高い建物を抽出し、地震前後の建物を比較することで、変化のない建物の検出を行った。無被害建物の地震前後における位置ずれを面積相関法で求め、それらの平均値をエリア内の地殻変動量と見なした。提案手法を東北地方と東京中心部の衛星画像に適用し、GPS電子基準点の記録との比較で結果の精度を検証した。