日本地震工学会論文集
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論文
微動アレイ探査による立川断層帯周辺における表層地盤のS波速度構造モデルの推定
地元 孝輔佐口 浩一郎山中 浩明
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2015 年 15 巻 1 号 p. 1_81-1_100

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抄録
立川断層および名栗断層から構成される立川断層帯の周辺地域において、表層地盤による地盤増幅特性を評価するために、多くの微動探査を実施し、レイリー波位相速度の逆解析によってS波速度構造を推定した。立川断層の北部にあたる東京都青梅市から埼玉県入間市や東京都西多摩郡瑞穂町では、断層の存在によると考えられる表層地盤のS波速度構造の空間的変化がみられた。この表層地盤の変化は地質学的特徴とも調和的である。また、立川断層北部のみならず断層帯周辺の表層S波速度構造の空間的変化は大きく、そのため強震動評価における地盤増幅特性も大きく変化することを示した。地下30mまでの平均S波速度(AVS 30)は全体的に北西部で大きく、南東側ほど小さくなる傾向がみられた。それによって、地盤増幅率は南東側で大きく、卓越周波数は北西側で高くなった。これらの結果と微地形区分による地盤増幅特性を比較すると、本研究で得たAVS30は微地形による推定値よりも大きく、地盤増幅率は小さかった。このことは、立川断層帯周辺におけるものであり、そのため表層地盤を考慮した広域の強震動評価を実施するにあたっては、対象とする地域において直接推定されたS波速度を調べたうえで詳細なモデル化を行うことが重要である。
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© 2015 一般社団法人 日本地震工学会
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