抄録
茨城県沖・福島県沖で発生する地震は、長周期の卓越が見られないという報告があるが、浅い地震では、やや長周期の表面波の励起が期待される。この地域の気象庁マグニチュード6.5以上、深さ60km以浅の地震を対象に、東京湾岸での長周期地震動と震源深さの関係を調べた。震源が浅い地震では深い地震に比べ長周期の後続波群が顕著になり、長周期地震動の振幅が相対的に大きい。また、長周期地震動の卓越に震源メカニズムが影響していると考えられる事例や実体波の増幅が影響しているケースも確認された。東京湾岸の長周期地震動の卓越周期や振幅レベルを考える上で、多様な要因の考慮が必要である。