2016 年 16 巻 9 号 p. 9_118-9_132
2016年2月6日未明、台湾の高雄市美濃区を震央として発生した地震 (Mw6.4) は、台湾南部の西岸地域に多くの被害をもたらした。震央の北西に位置する台南市では顕著な被害が生じ、特に115人の犠牲者を出した同市永康区の高層ビルの崩壊は、多くのメディアによって報道された。一方、人命への直接的な被害は報告されていないが、液状化や斜面被害などの地盤災害も多数生じた。液状化や斜面災害による被害の程度は限定的であったが、被害箇所の多くは沼地や水田を埋め立てた箇所に分布していた。本報告では、地震発生から約一か月後の2016年3月2日~3日にかけて実施された地震被害調査のうち、台南市で確認された地盤災害を中心に概説する。