日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
論文
常時微動測定による横浜市都筑区池辺町地域の軟弱地盤構造の推定
年縄 巧高浜 勉中山 将史
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 20 巻 1 号 p. 1_26-1_36

詳細
抄録

2014年に不同沈下被害が発生した箇所と1923年関東地震の際に木造家屋の全壊率が80%以上であった河内集落を含む横浜市都筑区池辺町地域において高密度の常時微動測定を行い,軟弱地盤の厚さの分布と地盤震動増幅率を推定し被害との関連性を調べた.ボーリング調査地点近傍で得られた微動H/Vスペクトル比のピーク周期(Tp)とN値50深さ(D)を比較し,TpからDを推定する式を求めた.この式を用いてこの地域のDの分布を推定すると,低地部のほとんどはD=10-15 mであるが,台地際低地北端部のDは15 mを超え,局部的にはDが20 mを超す領域が存在し,2014年の不同沈下発生地点は表層地盤の厚さが大きく変化する領域に位置していることがわかった.また,微動H/Vスペクトル比のピーク値(Ap)から強震スペクトル比(As)を推定し,その面的分布と集落毎の中央値を求めた.1923年関東地震の際の木造家屋全壊率がそれぞれ80%以上,30-50%の河内・川向集落はAsの中央値が5以上,全壊率が10%未満の藪根集落はAsの中央値が3以下であり軟弱地盤の地盤震動増幅が被害を大きくした可能性を示している.しかしながら,河内集落の木造家屋全壊率が特に大きかった理由については地盤震動増幅だけから説明することはできなかった.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本地震工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top