本研究では,並進3成分に回転3成分を加えた6成分観測による,表面波特性推定法の有効性を検討している.Rayleigh波とLove波が同一方向から伝播すると仮定し,水平軸周りの回転速度に基づいて到来方向を求める.これにより水平方向並進成分からRayleigh波とLove波が分離でき,並進加速度と回転速度の比をとることによって,Rayleigh波とLove波の位相速度を求めることが可能となる.任意の方向から平面波として伝播するRayleigh波とLove波からなる人工振動の単点6成分観測情報を作成し,その分析を通して,表面波の伝播方向,Rayleigh波とLove波の周波数ごとの振幅,ならびに位相速度が正確に算出可能であることを確認している.また,提案手法を強震動観測データに適用し,表面波位相速度が求められる可能性があることを示している.