2025 年 25 巻 4 号 p. 4_12-4_23
地形サイト特性を,単純な形状の尾根上(尾根中心と尾根端部)と平坦な尾根麓(基準点)の地震記録のスペクトル比に基づき検討した.その結果,地形の影響は,尾根方向に比べて,尾根直交方向の震動に明瞭に表れやすく,その特性は基準点に対して,2Hz付近から大きくなり,5 Hzまでほぼ平坦なピークが特徴であった.また,同じ尾根上でも,尾根中心よりも端部で増幅効果が大きかった.この尾根中心と尾根端部の増幅効果の特徴の差異について,数値標高モデルに基づく再現計算からは,2元的な地形のモデル化では十分ではなく,3次元的な地形を考慮する必要性が示された.さらに,観測から得られた地形サイト特性の大きさと地形指標との相関関係ついて検討した結果,一般的な地形指標の形状比(幅と高さの比)よりも,地表開度と地下開度による尾根谷度の相関が高かった.そこで,標高200 m以上のK-NET, KiK-netに対し尾根谷度の評価を行い,大加速度記録が得られている尾根谷度の大きな観測点としてAKTH04に着目し,尾根谷度が小さい近接観測点との比較からその有効性を検証した.