日本地震工学会論文集
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関東地震 (1923年9月1日) による木造住家被害データの 整理と震度分布の推定
諸井 孝文武村 雅之
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2002 年 2 巻 3 号 p. 35-71

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抄録

関東地震の被害数はデータセット毎に異なることがあり混乱しているように見える。その原因は集計単位の違い, 住家に対する非住家の混入, さらには焼失地域における全 (半) 潰家屋の取り扱い方の違いなどであることが分かって来た。本稿ではこれらの結果を踏まえ, 従来あるデータから出来る限り統一的な被害数の評価を試みる。関東地震による被害は関東地方の南部を中心に1府9県に及び, 木造建物の被害について被害地域のほぼ全域をカバーするデータとして震災予防調査会報告の松澤による集計と内務省社会局が大正震災志にまとめた市町村別の集計がある。主にこの2 つのデータをもとに新しいデータセットを作成した。作成したデータから計算される市町村単位の住家棟数全潰率をもとに, 被害地域の全域にわたる震度分布の推定も試みた。その結果, 南関東およびその周辺地域の震度と地盤条件の関係がより明瞭になった。

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