抄録
磁歪技術を応用し地震によって発生した応力が曲管部に残留しているか否かを、非破壊で診断するための手法を開発した。この方法によれば主応力差の全応力が測定される。曲管には製造時に発生した大きな応力が残留していることから、測定値から残留応力を分離するために、Rodabaugh とGeorge による曲管の応力計算理論式に測定値を回帰することを試みた。その結果、外力によって発生した応力のみを軸方向と円周方向に分けて精度良く取り出すことができた。開発された手法による診断可能な上限応力値は降伏応力の55%程度であり、大きな残留応力の存在のために同じ材質の直管に適用した場合に比べ上限応力値が低いことから、地震によって発生した応力が残留しているか否かの一次判断手法として用いることを提案した。