2006 年 6 巻 4 号 p. 113-132
大阪堆積盆地の地震観測サイトを例として, 地震基盤に達する「深部地盤速度構造」が広帯域サイト増幅スペクトルに及ぼす影響を系統的かつ定量的に検討する.まず1次元重複反射理論を用いたパラメータスタディにより, 深部地盤の速度構造がサイト増幅スペクトルの低周波数帯域のピーク形状を決め, 減衰構造が高周波数帯域のトレンドを決めていることを示す.すなわち深部地盤構造は低周波数帯域だけでなく高周波数にも強い影響を与える.次に実データの解析で得られた経験的サイト増幅スペクトルの逆解析により深部地盤構造モデルのパラメータがサイト増幅特性に及ぼす影響を定量的に分析し, 深部地盤構造を巨視的にモデル化することの妥当性を示す.そして深部地盤構造の巨視的表現を均質な3層構造から漸増構造に変更すると経験的サイト増幅スペクトルの低周波数帯域の再現性が向上することを示す.