日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
2004 年新潟県中越地震における強震観測点周辺の被害状況および建物被害と地震動の対応性
小杉 慎司境 有紀中村 友紀子大月 俊典
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2007 年 7 巻 6 号 p. 48-81

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抄録
2004 年10 月23 日に発生した新潟県中越地震では、数多くの観測点で震度6 弱以上、特に川口町川口では計測震度導入以来初めて震度7 を記録し、地震動の性質と建物被害の関係を検討するための貴重な強震記録が得られた。そこで、波形が回収された観測点の周辺を対象として建物被害を中心とした被害調査を行った。調査の結果、川口町震度計、JMA 小千谷、K-NET 小千谷周辺で大破・全壊建物が確認されたが、その他の観測点周辺では大きな被害は見られなかった。そこで、回収された波形を用いて強震動の性質と建物被害との対応性について検討した。その結果、今回の地震で発生した地震動の多くは、0.5 秒以下の極短周期が卓越し、計測震度や地動最大加速度は大きな値となるが、建物の大きな被害を引き起こす性質のものではないことがわかった。一方、川口町震度計で観測された地震動は大きな1-2 秒応答を記録しており、それが大きな被害に繋がったと考えられる。
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