日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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2007年新潟県中越沖地震における強震観測点周辺の被害状況と地震動の対応性
境 有紀川岡 裕康林 佑樹飯塚 裕暁
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2008 年 8 巻 4 号 p. 59-93

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抄録

2007年新潟県中越沖地震を対象として, 震度6弱以上を記録した全ての強震観測点と5強を記録した一部の強震観測点周辺の被害調査を行った. 震度6強を記録した6観測点のうちK-NET柏崎, 柏崎市中央町震度計周辺では, 木造建物全壊率が5~7%程度, 柏崎市西山町, 刈羽村割町震度計周辺でも全壊した木造建物, 倉庫が見られたが, 長岡市小国町, 飯綱町芋川震度計周辺では建物の大きな被害はなかった. 震度6弱を記録した観測点周辺でも, 大きな被害はなかった. 観測された強震記録の性質と被害との対応について検討した結果, 周辺で大きな被害が生じたK-NET柏崎, 柏崎市中央町震度計, 刈羽村割町震度計では, 2~2.5秒というやや長い周期が卓越すると同時に, 建物の大きな被害と相関をもつ1-2秒応答も大きく, これが大きな被害に結びついたと考えられる.その一方で, 震度6強を記録した長岡市小国町, 飯綱町芋川震度計も含めて, 1秒以下の短周期が卓越したその他の強震観測点では, 建物の大きな被害と相関をもつ1-2秒応答は小さい地震動で, 周辺にも大きな被害は見られなかった.

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