1995 年 41 巻 2 号 p. 135-144
本稿では, 「日本の地方都市の国際化」の研究の一環として, アジア地域との関係に関心が集まっている福岡に注目し, アジア都市システムにおける位置づけを検討した. 国際航空旅客流動を指標とし, 因子分析及び修正直接連結法により分析した結果, アジア都市システムには, 主に2つの結節地域の流動パターン(東アジア都市間, 東南・南アジア都市間)があり, 東アジアでは日本・韓国の都市間に強い関係があることが確認された. アジア都市システムにおける福岡の旅客流動は東京・大阪より少ないが, 他地方都市及び名古屋より優位であった. 韓国の都市との関係では, 日本の三大都市がソウルと強い関係にあるのに対し, 福岡は釜山へ指向する特徴があった. このような福岡・釜山間の関係は, 第VII因子及び準相互1位指向都市などによって説明され, 国際的都市システムにおけるプレッド型の非階層関係が認められた. 福岡の事例が示すように, 国内の地方都市が必ずしも他国の首都都市と強い結合関係(クリスタラー型の階層結合関係)があるとは言えないことが判明した.