経済地理学年報
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市外バス流動からみた現代韓国の都市群システム
小野 和久
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1997 年 43 巻 2 号 p. 114-125

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抄録

本稿では, 韓国の都市間を結ぶ公共交通において, 卓越した流動をもつ市外バス流動を指標として都市ごとにアクセシビリティを算出し, これと人口との相関関係を分析することによってアクセシビリティの特性を都市毎に把握し, このアクセシビリティにより韓国の都市群システムを分析した. この結果明らかになったこととして, 次の点があげられる. アクセシビリティと人口とは密接な関係があり, 両者の相関をみてみると, かなり高い相関係数が得られた. ただし, 人口だけではアクセシビリティを説明することはできず, 他の要因としては, 地形的要因や近くに位置する大都市の存在の有無など空間的な条件もアクセシビリティを規定することがわかった. このような特性を持ったアクセシビリティによって韓国の都市群システムを第9図を作成することによって把握した. この結果, 韓国の都市は5階層に分類することができた. 韓国の都市群システムは, ソウルの卓越した結節性によって特徴づけられるが, それとともに, 大邸を頂点に慶尚北道における結合体系など, 地域レベルの都市群システムもある程度認められる. ただ, 韓国の場合は, 日本と比較して, 広域中心都市に相当する道庁所在都市が未発達であるため, 地域的都市群システムが日本ほど広範囲には認められない.

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© 1997 経済地理学会
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