経済地理学年報
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基盤産業と都市の成長・衰退 : 時系列分析による地方4都市の事例から
亀山 嘉大
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2000 年 46 巻 2 号 p. 176-191

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抄録

本稿では, 福岡市, 北九州市, 大分市, 室蘭市を事例として都市の成長・衰退についての時系列分析がなされた. 経済基盤モデルの推定から, 都市の産業, とりわけ基盤産業と都市経済がどのような関係にあるのかが分析された.推定結果から, 都市の人口規模に対する基盤産業の従業者数の相関関係で係数値が大きい都市は衰退傾向にあるということが示され, 非基盤産業の従業者数に対する都市の人口規模の相関関係で係数値が大きい都市は成長傾向にあるということが示された. コブ・ダグラス型の生産関数の推定から, 都市の基盤産業における製造業がどのような役割をはたしているのかが分析された.推定結果から, 北九州市と室蘭市の資本装備率は高く(労働生産性は低く), 福岡市と大分市の資本装備率は低い(労働生産性は高い)ということが示された.このことは, 都市の人口規模が大きいほど(製造業の)集積の経済(労働生産性, 全要素生産性)も大きいという既存研究の結果と必ずしも整合的ではない結果となった.

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© 2000 経済地理学会
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