民主主義政治の成熟とともに地方分権が強化される方向にあるとはいえ,権限移譲後のすべての地域(地方)が経済的に発展するわけではなく,地域格差の一層の顕在化が諸外国で報告されている.日本の道州制改革においては地方への権限移譲がどの程度実現するかが問題であるが,本稿では(1)都市の人口移動率による地域的連結関係,(2)人口規模,州都の機能や位置による道州区分,(3)各道州内における地域特性の分析による改革後の地域的実態について検討した結果,中国・四国州の問題を除くと9州区分の採用がある程度妥当なものと考えられる.ただし,3大都市州の成長によって大都市と地方間の地域格差がさらに増大する可能性は否定できない.