抄録
本稿は,都市研究の立場から都市のスポンジ化を整理し,岐阜市における空き家発生の事例をもとに「都市のスポンジ化」の実態と対策について議論した.第一に,グローバルな都市変化,ナショナルな政策,ローカルな意思決定という三つのスケールに着目し,空き家等の発生する背景を整理した.第二に,岐阜市京町地区(市街地)と郊外の K地区での空き家調査結果を事例として,空き家増加の地理的考察を試みた.日本における第二次世界大戦以降の都市・住宅政策の変化や岐阜市における事例研究を踏まえた分析の結果,「都市の空き家問題」および「都市のスポンジ化」を,単なる「不動産の低未利用」と理解すると対応を誤りかねないことを指摘した.これからの都市や社会,家族の在り方を踏まえてこの問題を理解し,対策する必要があるとして,人口減少を長期的な現象として受け止め,人口維持と住民の生活の質向上を目指す,縮退受容政策を日本に取り入れることを提案した.なお,本稿は,2020年度経済地理学会岐阜地域大会シンポジウム「都市のスポンジ化への抵抗」において報告した内容を,当日の議論もふまえてまとめたものである.