2024 年 70 巻 4 号 p. 357-367
本論文の第一の課題は,日本資本主義が,この間に全体としてどのような構造変容を遂げたのかを明らかにすることであり,そのような日本資本主義の構造変容と結びついた地域経済の現況を俯瞰することを第二の課題とした.
本論文の結論は,以下のとおりである.「グローバル国家」を標榜して進められてきた新自由主義的な構造改革は,東京都の業務空間や富裕者層が居住する地域での「経済成長」は実現したものの,国土の圧倒的多くを占める農山漁村地域経済の産業を破壊し,市町村役場を消滅させ,鉄道や郵便,通信などのユニバーサルサービスを後退させ,住み続けることができない地域を広げたといえる.
そこに地震・津波,水害・土砂災害,そして感染症といった大災害が連続的に襲いかかる「災害」の時代が到来している.併せて,この間のコロナ禍や戦争による物流の混乱,円安物価高は,食料やエネルギー資源を海外に依存することによる持続可能性の危機を現実のものとしている.