2018 年 21 巻 1 号 p. 3-11
伝統的にカリキュラム開発を行う館山市立北条小学校においては,「統合学習」と「実行委員会」のカリキュラムに基づいた教育実践が行われている。統合学習の最終単元である「卒業式第2部」を協同して遂行するために,担当教師のスーパーバイズのもと,実行委員会では児童による建設的な話し合いが行われているが,その実態と教師の関わり方については十分な検討がなされていない。本研究の目的は,このような児童の話し合いと,教師の関わり方の実態を明らかにすることである。Mercerによる児童の会話の3類型をもとに検討した結果として,児童は教師の支援がなくとも「探索的会話」を行っていることが明らかになった。また,教師は議題の指示や決断の促進,児童を鼓舞することなどを通して単元全体の進捗を管理し,教師自らの意見提示やフィードバックと質問を通した意見の確認や整理を行うことで発表内容の質の向上を図っていると考えられた。