教師学研究
Online ISSN : 2424-1598
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最新号
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  • 校長と支援を担う教員との関わりに着目して
    伊藤 莉央
    2025 年28 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、外国人生徒の支援を担う教員が周辺化し支援の意識が共有されづらくなる要因を、校長の行為に着目することにより制度的な状況との関連から明らかにすることである。分析の結果、外国人生徒支援に特化したカリキュラムや人的資源がシステム的に保障されていないことが制度的に制限された状況となり、外国人生徒の文化的背景を肯定する支援の意識を共有することが困難となっていた。カリキュラムと人的資源がシステム的に保障されていない制度的に制限された状況では、トップダウン的に取り組みを進めていくことが適さないと校長は捉え、支援を担う教員から支援の意識が共有されていくように、支援を担う教員に校長は戦略的に働きかけていた。支援を担う教員は身近な資源を活用し取り組みを行い、支援の意識を共有しようとしていたが、これが結果として同僚教員に周辺的な働きかけを行い、支援の意識が共有されづらくなることにもつながっていた。
  • 若手教師のライフストーリーを通じて
    行森 まさみ
    2025 年28 巻1 号 p. 11-20
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿は、EFL環境における4名の若手英語教師の教職に対する動機づけの変容を、ライフストーリーを通じて考察するものである。各教師の動機づけの減退や上昇を個別のストーリーに沿って分析し、自律性や同僚の支え、生徒との関わりといった要因が動機づけに与える影響も明らかになった。特に、自律した授業実施や同僚教師の存在が動機づけの維持に寄与し、生徒との深い関わりが高い動機づけを保つ鍵となっていた。また、英語教師として教職に対する不安や困難に直面しながらも、生徒との関係や自己努力によって動機づけを回復する姿が見られた。これらのストーリーは、若手教師が主体的に教職を継続するための動機づけの要因を示すものであり、教育現場でのサポート体制の充実や自己実現を促す環境づくりの必要性を示唆している。学習者の動機づけに関する研究同様、教師の動機づけに関するさらなる研究の必要性が示されている。
  • 小学校教員へのインタビュー調査から得られた対応時の留意点をもとに
    佐野 孝, 古村 真帆, 桃田 茉子
    2025 年28 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    本研究は、学校の集団場面の傷病発生時における傷病者以外の児童への対応の留意点を収集し、その対応のあり方を予備的に検討することを目的とした。小学校教員15名に半構造化インタビュー調査を実施し回答内容を分析した。その結果、傷病者以外の児童に生じる問題への対応として、傷病者以外の児童を安心させる働きかけや教師の落ち着いた行動や態度、傷病者への的確な保健的処置等による学級全体の安心感の確保に関する回答がみられた。一方、傷病者本人と周囲との関係性に生じる問題への対応として、周囲の児童の誤った言動・行動には毅然と対応し、傷病者を責めない雰囲気づくりを行うこと、傷病発生を社会性の育成や学級づくりの機会とすること等、傷病者への否定的態度やいじめの防止に関する回答がみられた。今後は、広範な実態調査や教員歴等の特性、傷病の種類を加味した分析を行い、傷病発生時の教育的対応のあり方をより精緻に検討する必要がある。
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